大量保有報告書の提出状況

提出遅延も多く、エンフォースメントに課題

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サマリー

◆2023年6月5日に金融審議会「公開買付制度・大量保有報告制度等ワーキング・グループ」の第1回会合が開催された。大量保有報告制度とは、上場会社等の株券等保有割合が5%超となった者に大量保有報告書の提出を義務付ける制度であり、その保有割合が5%超となった日から5営業日以内に提出する必要がある(一般報告)。なお、提出の遅延や不提出は制裁の対象となる。

◆「2022年6月1日~2023年5月31日」の1年間には866件の大量保有報告書(一般報告としてEDINETに提出および掲載された報告書958件のうち、表紙が「大量保有報告書」、「大量保有報告」または「大量報告書」であるもの)が提出されており、うち137件に提出遅延が生じていた。特に有価証券報告書等の提出義務者以外の内国法人・組合(47件)と個人(62件)において提出遅延の発生が目立った。これら2主体以外の提出主体においても、一定数の遅延が発生していた。

◆提出までの所要営業日数を見ると、100営業日を超える遅延は29件であった。制裁の強化のほか、制度の周知なども同時に進めるといったバランスの取れた解決策を導く議論が行われることが期待される。

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