サマリー
◆1-3月期のGDP統計ではユーロ圏経済の成長ペースの鈍化が確認されたが、4月に入って景況感指数はさらに大きく落ち込んでおり、ユーロ圏の減速懸念は一層高まっている。
◆とりわけ足元で悪化が顕著なのは消費者マインド、および家計との関連性が強いサービス業であり、その一方で製造業の景況感は相対的に底堅い。ただし、足元の製造業の底堅さはコスト上昇と供給制約に備えた駆け込み需要が影響している可能性があり、先行きは下振れリスクが大きい。
◆インフレ率の上振れリスクが高まっていることを認めつつ、ECBは4月の理事会で政策金利の据え置きを決めた。ECBのインフレ率見通しの前提となる原油価格は、前回、3月見通し時点での想定を上回って推移しており、次回、6月に改訂される経済見通しでは、インフレ率見通しが上方修正される可能性が高い。また、ECBはエネルギー価格が高止まりする期間が長引けば、インフレ率や経済活動に与える影響が強まるとの見方を示していることから、6月の理事会でECBが利上げに踏み切ったとしても違和感はない。
◆英国ではイラン情勢という外的要因に加えて、政治不安という国内要因によるリスクが高まっている。5月7日に行われた地方選挙で大敗した与党・労働党内ではスターマー首相への批判が強まっており、党首選挙実施に向けた動きが進展している。党首選は早くても夏場に開催される見通しであり、当面は政治的な不安定さが企業・家計のマインドに悪影響を及ぼす可能性に注意が必要である。また、仮に首相交代が実現すれば、政策の変化に加えて、財政規律が維持されるかが注目点となる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
1-3月期ユーロ圏GDP 市場予想に反して減速
かろうじてプラス成長も、原油高の悪影響本格化の前から成長停滞
2026年05月01日
-
欧州経済見通し 進む資源高対応
財政支援と企業による価格転嫁
2026年04月21日
-
欧州経済見通し 中東情勢が下振れリスクに
エネルギー価格上昇の影響は既に顕在化、金融政策はタカ派シフト
2026年03月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
コーポレートガバナンス・コードの改訂案が公表
本質的な取組みと丁寧なエクスプレインが期待される
2026年04月27日
-
第229回日本経済予測
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年05月25日
-
変革迫られる学校法人の資産運用
AOP対応は、少子化・インフレの荒波を乗り越えるための第一歩
2026年05月07日
-
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
コーポレートガバナンス・コードの改訂案が公表
本質的な取組みと丁寧なエクスプレインが期待される
2026年04月27日
第229回日本経済予測
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年05月25日
変革迫られる学校法人の資産運用
AOP対応は、少子化・インフレの荒波を乗り越えるための第一歩
2026年05月07日
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日

