2026年07月22日
サマリー
◆コーポレートガバナンス・コード第3次改訂が確定した。改訂に伴って実施されたパブリック・コメント(パブコメ)への回答「提出された意見とそれに対する考え方」(以下、パブコメ回答)も併せて公表された。①コードのスリム化の中での解釈指針の位置づけ、②経営資源(現預金等)の有効活用、③有価証券報告書の総会前開示、④取締役会等の機能強化が今回改訂の中心課題となっている。
◆「解釈指針」はコンプライ・オア・エクスプレインの対象外とされ当初案にあった「原則と一体」であるとの記述は削除されたものの、「~すべきである」といった表現は残されており、実務上は資産運用業者や議決権行使助言業者の評価基準として強い影響力を持つ可能性がある。
◆経営資源の活用に関する記述は、現預金だけを問題視する趣旨ではないことが明確化された。当初案の「現預金を投資等に有効活用できているか」という表現は、「現預金等の金融資産や実物資産等の経営資源を有効活用できているか」へ修正され、成長投資だけでなく、リスクへの備えとしての現預金の保有なども合理性を認める旨が説明された。
◆有価証券報告書の株主総会3週間前開示については、現行制度下での実現の難しさが指摘されてきた。改訂CGコード上では早期開示が望ましいとの考え方を維持しつつ、企業負担や法制度上の課題を踏まえ、法務省との連携による制度的検討を進める方針が示された。
◆取締役会事務局(コーポレートセクレタリー等)の機能強化が新たに明示された。「コーポレートセクレタリー」は参考的な表現にすぎず、専任部署や特定の役職設置を一律に求めるものではないことがパブコメ回答で確認された。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
検討進むガバナンス・コード改訂:2月案と4月案の相違点は
「解釈指針」は原則と一体という記述は削除。現預金への注目を避ける修文。
2026年04月10日
-
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
-
ガバナンス・コードはスリム化するか?
原則の統合によって原則数減少、独立性判断方針の「策定・開示」から「策定」へ変更し要開示事項が減少
2026年02月26日
同じカテゴリの最新レポート
-
社債権者集会の開催に関する規律の概要
会社法改正の検討事項:バーチャル社債権者集会の法制化に関する論点(前編)
2026年09月10日
-
指名委員会等設置会社の見直しによる企業への影響
機関設計の選択にとどまらないガバナンスの実効性確保が重要
2026年08月10日
-
経済産業省「公正な買収の在り方に関する研究会」による企業買収行動指針のポイント・Q&A(案)
指針の趣旨を明確化~「企業価値」や「望ましい買収」とは?~
2026年07月17日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2026年ジャクソンホール会議の注目点は?
ウォーシュ議長はインフレ抑止に対する姿勢を明確に打ち出すか
2026年08月20日
-
“TACO”指数で読む トランプ大統領の“TACO”化の兆し
市場と世論が映す政策転換のサイン
2026年08月13日
-
高市政権誕生後の長期金利をどうみるか
2035年に3.3~4.0%程度で、海外保有拡大で更なる上昇も
2026年08月12日
-
第230回日本経済予測
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年08月21日
-
GPIFガバナンス改革の功罪と課題解決の道
目先の運用見直しの可能性は低いが、硬直的運用への対応が課題
2026年08月13日
2026年ジャクソンホール会議の注目点は?
ウォーシュ議長はインフレ抑止に対する姿勢を明確に打ち出すか
2026年08月20日
“TACO”指数で読む トランプ大統領の“TACO”化の兆し
市場と世論が映す政策転換のサイン
2026年08月13日
高市政権誕生後の長期金利をどうみるか
2035年に3.3~4.0%程度で、海外保有拡大で更なる上昇も
2026年08月12日
第230回日本経済予測
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年08月21日
GPIFガバナンス改革の功罪と課題解決の道
目先の運用見直しの可能性は低いが、硬直的運用への対応が課題
2026年08月13日

