2023年03月31日
サマリー
◆2023年度以降も様々な制度改正が予定されている。本稿では、そのうち企業法務に関連する主な動きをまとめ、特に重要だと考えられるものについて、簡単な解説を加えた。
◆2023年3月1日以降開催される上場会社等の株主総会について、株主総会資料の電子提供制度が強制適用されている(令和元年改正会社法)。また、6月15日には、産業競争力強化法のバーチャルオンリー総会の特例(定款変更なしに開催可能)が終了する。
◆2023年3月31日以後終了する事業年度に係る有価証券報告書等からサステナビリティ情報などの開示が拡充される。また、2024年4月1日以降開始する四半期から、四半期報告書(第1・第3四半期)が廃止され、四半期決算短信に一本化されることが予定されている。
◆2023年6月1日に、不当な勧誘があったとして消費者からの契約取消権が認められるケースの追加や、免責の範囲が不明確な条項の無効を定めた改正消費者契約法が施行される。10月1日には、消費者団体訴訟制度(被害回復)(いわゆる日本版クラスアクション)の対象範囲に一定の慰謝料を追加することなどを内容とする、改正消費者裁判手続特例法が施行される。
◆2024年2月までに、経済安全保障推進法に基づき、基幹インフラ役務の安定的な提供を確保する制度が施行される。電力、通信、水道、金融等の基幹インフラ役務の安定供給のため、対象事業者が設備の導入等を行う際に政府の審査を受けることになる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
株主総会資料の電子提供制度開始①(改訂版)
2023年3月1日以降の上場会社の株主総会では原則電子提供に
2023年02月07日
-
「バーチャルオンリー株主総会」が創設〔前〕
上場会社はオンラインのみでの株主総会開催が可能に
2021年08月24日
-
開示府令の改正が公布・施行
サステナビリティ情報開示などに関する具体的な考え方・対応を解説
2023年02月07日
-
2024年度から四半期報告書が廃止へ
2023年03月29日
-
令和5年金商法等改正法案の概要
最善利益義務、説明義務、金融経済教育推進機構、四半期報告書など
2023年03月30日
-
ステーブルコイン、AML、前払式支払手段に関する資金決済法等改正法案
2022年05月12日
-
経済安全保障推進法で金融機関に求められる対応
『大和総研調査季報』2022年秋季号(Vol.48)掲載
2022年10月20日
同じカテゴリの最新レポート
-
東証投資単位引き下げで変わる株主総会
議決権1つの価格が下がれば、株主提案権も「大安売り」に
2025年04月28日
-
社外取締役の選任状況から見る課題と対応
取締役会のスリム化、兼任を含む企業ごとのアプローチの検討が必要
2025年04月11日
-
株主提案権制度の改正提言相次ぐ
議決権300個で株主提案ができる現行制度の改正を期待する声
2025年03月28日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日