2023年03月30日
サマリー
◆2023年3月14日、「金融商品取引法等の一部を改正する法律案」と「情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための社債、株式等の振替に関する法律等の一部を改正する法律案」が第211回国会に提出された。
◆これらの法律案は、金融審議会市場制度ワーキング・グループ、ディスクロージャーワーキング・グループ、顧客本位タスクフォースの提言などを実現するものである。
◆具体的には、①幅広い金融事業者や企業年金等関係者に対する最善利益義務(顧客や年金加入者の最善の利益を勘案すべき義務)、②顧客属性に応じた説明義務の法定化、③顧客への情報提供におけるデジタル技術活用に関する規定の整備、④資産形成の支援に関する施策を総合的に推進する「基本方針」、⑤金融経済教育推進機構の創設、⑥(金融商品取引法上の)四半期報告書の廃止、⑦半期報告書・臨時報告書などの公衆縦覧期間の延長(5年に)、⑧上場等に伴う既存株主等の口座情報を求める通知に係る期間の規定の見直し(上場日程の期間短縮)など、多岐にわたる改正が盛り込まれている。
◆いずれの法律案も成立すれば、その主要事項は、原則、公布日から起算して1年以内の政令指定日からの施行が予定されている(上記⑥四半期報告書の廃止は2024年4月1日施行予定など、異なる施行日のものもある)。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
顧客本位タスクフォースの中間報告
最善利益義務、デジタル技術の情報提供への活用、認定アドバイザー、金融リテラシー、プロダクトガバナンスの確保
2022年12月14日
-
顧客本位タスクフォース中間報告 最善利益義務の制定
2022年12月20日
-
新たなアドバイザー認定制度と金融リテラシー向上を巡る議論
投資助言業の登録要件緩和と金融経済教育の推進機構の新設へ
2022年12月20日
-
四半期開示の見直しの内容が明確に
2022年度ディスクロージャーワーキング・グループ報告(案)の概要
2022年12月21日
-
金融審議会市場制度WGの第二次中間整理
市場インフラの機能強化、スタートアップ企業等への円滑な資金供給等について提言
2022年12月23日
-
顧客本位タスクフォース中間報告 利益相反と手数料等についての情報提供は義務化へ
顧客本位の業務運営に関する原則の一部をルール化へ
2023年01月26日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
IoT製品に対するセキュリティ適合性評価制度『JC-STAR』の開始
DIR SOC Quarterly vol.10 2025 winter 掲載
2025年01月16日
-
2025年度のPBはGDP比1~2%程度の赤字?
減税や大型補正予算編成で3%台に赤字が拡大する可能性も
2025年01月15日
-
『ICTサイバーセキュリティ政策の中期重点方針』の公表
DIR SOC Quarterly vol.10 2025 winter 掲載
2025年01月15日
-
緩やかな回復基調、地域でばらつきも~消費者の節約志向や投資意欲の変化を注視
2025年1月 大和地域AI(地域愛)インデックス
2025年01月14日
-
金融分野におけるサイバーセキュリティに関するガイドラインとセキュリティ人材育成
2025年01月16日
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
「トランプ関税2.0」による日本経済への影響試算
中間財の出荷減や米国等の景気悪化で日本の実質GDPは最大▲1.4%
2024年12月18日
-
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算(第3版)
様々な物価・賃金指標を用いる案および住民税分離案を検証
2024年12月04日
-
長寿化で増える認知症者の金融資産残高の将来推計
金融犯罪を含む金融面の課題やリスクへの対応も重要
2024年12月20日
-
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
「トランプ関税2.0」による日本経済への影響試算
中間財の出荷減や米国等の景気悪化で日本の実質GDPは最大▲1.4%
2024年12月18日
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算(第3版)
様々な物価・賃金指標を用いる案および住民税分離案を検証
2024年12月04日
長寿化で増える認知症者の金融資産残高の将来推計
金融犯罪を含む金融面の課題やリスクへの対応も重要
2024年12月20日
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日