社外取締役の選任状況から見る課題と対応

取締役会のスリム化、兼任を含む企業ごとのアプローチの検討が必要

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  • 金融調査部 研究員 藤野 大輝
  • リサーチ業務部 大和 敦

サマリー

◆2024年12月末時点のデータ入手可能な全上場会社(3,921社)における平均の取締役数は約8.1人、社外取締役数は約3.3人であり、取締役会の約41%が社外取締役で構成されている。また、東京証券取引所プライム市場上場会社のうち、社外取締役を3分の1以上選任している企業は1,614社(99%)、過半数選任している企業は410社(25%)だった。

◆全てのプライム市場上場会社が社外取締役を過半数選任し、スタンダード市場上場会社が社外取締役を3分の1以上選任することを目指す場合には、新たに計4,225人の社外取締役を選任しなければならない。逆に、社外取締役の人数を変えずに計4,727人の社内取締役を減らし、取締役会をスリム化することでも同様の水準を達成することができる。

◆複数の上場会社で取締役・監査役を兼任していない取締役・監査役は31,583人だった。兼任している者の中では、2社で兼任している取締役・監査役が2,491人と最も多い一方、多数の企業で兼任している取締役・監査役も見られた。

◆企業が社外取締役比率の向上を目指す上で重要なことは、新たな社外取締役の選任、取締役会のスリム化、兼任など、様々な選択肢があることを認識し、各社が考える取締役会の在り方や社外取締役の役割に合わせたアプローチを検討することであろう。

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