2023年02月07日
サマリー
◆2023年1月31日、「企業内容等の開示に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令」(改正開示府令)が公布・施行された。本稿では、改正案へ寄せられた意見とそれに対する金融庁の回答も考慮し、改正案時点からさらに踏み込んで、改正開示府令の具体的な内容と想定される対応について解説する。
◆改正開示府令により、サステナビリティに関する考え方及び取組、多様性に関する情報(女性管理職比率、男性の育児休業取得率、男女間賃金格差)、コーポレートガバナンスに関する情報(取締役会、各委員会の活動状況、内部監査の実効性に関する取組、政策保有株式の発行会社と業務提携等を行っている場合の説明)の開示が求められる。
◆改正開示府令は2023年3月31日以後終了する事業年度に係る有価証券報告書等から適用される(早期適用可)。サステナビリティ情報に関しては、今回の改正では細かな記載事項の規定がなく、各企業の現在の取組状況に応じて柔軟な記載ができる枠組みとされている。だが、将来的には国際的な動向も踏まえて開示がさらに拡充していくことが見込まれる。今後の動向も視野に入れ、サステナビリティに関する体制の整備や取組を進め、開示の充実化を図ることが重要である。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
政策保有株式の開示状況と今後の対応
TOPIX500採用銘柄における有価証券報告書での開示を集計
2023年01月31日
-
企業のサステナビリティ情報の開示に関する国際的な基準案が公表
ISSBの公開草案についてQ&A形式で解説①
2022年04月22日
-
開示府令改正案の概要と今後の展望
有価証券報告書におけるサステナビリティ、コーポレートガバナンスに関する情報開示の拡充
2022年11月10日
同じカテゴリの最新レポート
-
企業価値担保権付き融資の引当等の考え方
将来情報・定性情報を適切に債務者区分・格付に反映
2025年09月01日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
令和6年金商法等改正法 公開買付制度の改正内容の詳細
30%ルール適用除外となる僅少買付け等は0.5%未満の買付け等に
2025年07月15日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日