高校教科書の資産運用の記述はどう変わったか

学習指導要領改訂を受けて記述は拡充されたが、実践面の課題は多い

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  • 永井 寛之

サマリー

◆2022年度から高校では家庭科の授業で金融経済教育の資産形成に関する内容が拡充された。これをきっかけに、金融機関の関係者の中には若年層が資産運用に興味を持ち、貯蓄から投資への流れが加速することを期待する声がある。

◆新しい家庭科の教科書を確認すると、金融商品の商品ごとの説明が追加されているなど、資産形成に関する記述が増加していることが分かる。一部の教科書では、扱われているページ数も増加している。しかし、教員からは記述が不十分だということが指摘されている。例えば、なぜ資産形成が必要なのかという導入部分の説明や投資のリスクについての説明などが十分ではないように見受けられる。そのほか、授業時間が少ないことや教員の知識不足という問題も指摘される。

◆これらの問題を解決するには、資産形成シミュレーターを盛り込むなどした実践的な教材を使用して生徒の理解を深める、専門知識のある外部人材を活用するなどが考えられる。この点につき、金融機関はより実践的な教材や出張授業の提供、教員向けのセミナー開催などで学校における金融経済教育に協力できる余地が大きいと考えられる。

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