サマリー
◆中東情勢は一時停戦により緩やかに落ち着きを見せつつあるものの、長期的な停戦の実現やホルムズ海峡の通航正常化にはなお不透明感が残る。原油価格はピークからやや低下したとはいえ、中東情勢の混乱前対比では高水準にあり、ガソリン価格や電気代の上昇を通じて家計の実質購買力を下押しすることが懸念される。もともと雇用環境の緩やかな悪化や貯蓄率の低下により消費の持続力は弱まりつつあり、株価調整の影響も加わって、個人消費には下振れ圧力がかかりやすい状況にある。
◆2025年の減税による税還付は短期的な下支え要因となっているが、その効果が剥落する中で原油高が続けば、消費の減速圧力は一段と強まる可能性がある。金融政策面でも、インフレ再加速を受けて利下げは先送りされる公算が大きく、需要面からの下支えは期待しにくい。
◆こうした中、個人消費の持続性を左右する鍵は雇用動向にある。足元の雇用者数の増加は消費維持に必要な水準を上回っているが、原油高による実質賃金の押し下げを考慮すると、必要な雇用増加ペースは大きく切り上がり、現状では個人消費に緩やかな下押し圧力が生じやすい。さらに、企業収益の伸び悩みや不確実性の高まりを背景に、雇用の先行指標には減速の兆しも見られる。雇用調整が本格化する前に、中東情勢の安定化が進むかが米国経済の下振れリスクを考える上で重要となる。
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