サマリー
◆2024年7-9月期のGDP1次速報の公表を受け、経済見通しを改訂した。メインシナリオにおける実質GDP成長率は2024年度+0.5%、2025年度+1.4%(暦年ベースでは2024年▲0.2%、2025年+1.6%)と見込む。
◆2024年7-9月期に2四半期連続で前年比プラスとなった実質賃金(1人あたり実質雇用者報酬)は、最低賃金や公務員給与の大幅引き上げ、春闘での高水準の賃上げ継続などにより、同+1%前後で推移するだろう。賃上げと価格転嫁の循環により、CPI上昇率の基調は同+2%程度の見込みだ。家計の所得環境の改善や政府の経済対策、インバウンド需要の増加、高水準の家計貯蓄、シリコンサイクル(世界の半導体市況)の回復などが日本経済を下支えしたり、押し上げたりするとみている。ただし、米トランプ次期政権の政策など海外を中心に景気の下振れリスクには警戒が必要で、円高が進行する可能性もある。
◆日本銀行(日銀)は経済・物価・金融情勢を注視しつつ、2025年1-3月期に短期金利を0.50%に引き上げ、その後は半年に一度程度のペースで0.25%ptの追加利上げを行うと想定している。予測期間を通じて緩和的な金融環境が維持されるだろう。ただし、170円/ドルを超える大幅な円安などでCPI上昇率が目標の2%を大幅に上回る可能性が高まれば、日銀は追加利上げを前倒しで実施するとみられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
-
主要国経済Outlook 2025年6月号(No.463)
経済見通し:世界、日本、米国、欧州、中国
2025年05月26日
-
世界経済は落ち着きを取り戻すのか
2025年05月26日
最新のレポート・コラム
-
メタバースは本当に幻滅期で終わったか?
リアル復権時代も大きい将来性、足元のデータや活用事例で再確認
2025年06月11日
-
議決権行使助言業者規制を明確化:英FRC
スチュワードシップ・コード改訂で助言業者向け条項を新設
2025年06月10日
-
上場後の高い成長を見据えたIPOの推進に求められるものとは
グロース市場改革の一環として、東証内のIPO連携会議で経営者向け情報発信を検討
2025年06月10日
-
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
-
「内巻」(破滅的競争)に巻き込まれる中国自動車業界
2025年06月11日
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日