サマリー
◆2026年7月21日、高市早苗政権は2026年度の「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太方針2026)を閣議決定した。骨太方針2026では、現役世代の社会保険料率の引き下げを目指し、新たに「社会保障負担率」の目標を設定した。だが、医療の高度化や高齢化などによる医療費の増加が続く中、社会保険料率の安定化は容易ではない。70歳以上の窓口負担の見直しなど、これまで以上に踏み込んだ改革が必要だ。
◆給付付き税額控除とその「つなぎ」の飲食料品の消費減税については、8月上旬までを目途に方針を決定するとの記載にとどまった。前者は、「所得に連動したきめ細かな給付」(所得連動型給付)として2029年度に本格導入される見込みだ。「貧困層の貧困化」が進む日本の現役世代向け所得再分配機能を強化する仕組みとして評価される。飲食料品の消費減税も実施される可能性は高いとみられるが、高所得世帯にも大きな恩恵が及ぶなど費用対効果が悪く、減税分ほど小売価格が下がらない可能性もある。
◆所得連動型給付の当面の課題は財源確保だ。年間数兆円規模の恒久財源が必要とみられる一方、2030年代には財政状況の悪化が見込まれる。現役世代への支援強化と財政の持続可能性を両立させるためにも、社会保障給付の重点化・効率化や応能負担の徹底などを進めることが重要だ。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日
-
骨太方針のポイント② ~「責任ある積極財政」の試金石は2030年代に
「財政ボーナス期」後を見据え「成長ありき」でない財政運営が必要
2026年07月15日
同じカテゴリの最新レポート
-
飲食料品の消費減税による消費行動への影響
買い控え・反動増は限定的。外食支援策は実態を見極めた対応を
2026年10月19日
-
日本の長期金利、2035年に5%台の可能性
2035年に3.5~4.2%程度で、海外保有拡大で1%pt超の上乗せも
2026年10月16日
-
なぜ企業は同じ情報を何度も提出しなければならないのか
公的統計のデジタル化を問う①-負担軽減の「効果」
2026年10月16日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
-
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
-
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
-
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
-
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日

