サマリー
◆2025年8月の生産指数は前月比▲1.2%と2カ月連続で低下し、コンセンサスを下回った。内訳を見ると、電気・情報通信機械工業や金属製品工業などの減産が押し下げ要因となった。経済産業省は基調判断を「一進一退」に据え置いた。
◆先行きの生産指数は、軟調な推移が続くだろう。米トランプ政権による高関税政策(トランプ関税)がもたらす悪影響には引き続き注意が必要だ。日米関税交渉は合意に達し、対日相互関税率は15%に設定された。事前に通知されていた25%の相互関税率と比べると、日本経済への悪影響は一定程度緩和された形となる。だが、海外経済の大幅な落ち込みや、米国における販売価格引き上げ、現地生産の増加など、リスク要因は残っている。トランプ関税を巡る国内外の動向や経済活動への影響を引き続き注視する必要があるだろう。
◆2025年10月7日公表予定の8月分の景気動向指数は、先行CIが前月差+1.5ptの107.6、一致CIが同▲0.8ptの113.3と予想する。この予測値に基づくと、8月の基調判断は機械的に「下げ止まり」に据え置かれる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2025年7月鉱工業生産
自動車工業などが減産、先行きは関税政策の悪影響に注意
2025年08月29日
-
2025年6月鉱工業生産
市場予想を大幅に上回る結果も、先行きは関税政策の悪影響に注意
2025年07月31日
-
2025年5月鉱工業生産
生産用機械工業などの増産で上昇も市場予想を大幅に下回る結果
2025年06月30日
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年10月貿易統計
トランプ関税の悪影響が継続。今後は米中リスクにも警戒が必要
2025年11月21日
-
2025年10月全国消費者物価
サービス価格や耐久消費財価格の上昇が物価上昇率を押し上げ
2025年11月21日
-
中国の渡航自粛要請は日本の実質GDPを0.1~0.4%下押し
今後は対中輸出などへの波及に要注意
2025年11月21日

