サマリー
◆2025年4-6月期の全産業(金融業、保険業除く)の売上高は前年比+0.8%と17四半期連続の増収、経常利益は同+0.2%と3四半期連続の増益となった。季節調整値で見ると、売上高は前期比▲1.1%と5四半期ぶりに減少したものの、経常利益は同+0.7%と2四半期ぶりに増加した。トランプ米政権による高関税政策(トランプ関税)や円高などの影響を受け、製造業の経常利益が同▲6.6%と2四半期連続の減益となった。設備投資(ソフトウェア除く)は前年比+5.2%と17四半期連続で増加し、季節調整値では前期比+0.2%と小幅ながら5四半期連続で増加した。
◆7-9月期の経常利益(季節調整値)は足踏みするとみている。トランプ関税が引き続き幅広い企業の収益を押し下げるだろう。ただし、関税を巡る先行きの不確実性が低下したことを受け、米国での販売価格の引き上げやサプライチェーンの見直し、手控えていた設備投資の再開に動く企業が増えるとみられる。これらの効果は徐々に顕在化し、10-12月期にはトランプ関税による企業収益への影響は和らぐだろう。設備投資は7-9月期にかけて伸び悩む一方、10-12月期以降は緩やかに持ち直す見込みだ。
◆今回の法人企業統計の結果を受け、2025年4-6月期のGDP2次速報(9月8日公表予定)では実質GDP成長率が前期比年率+1.6%と、1次速報(同+1.0%)から上方修正されると予想する。
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