サマリー
◆2024年4月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+8.3%と5カ月連続で増加したものの、コンセンサス(同+11.0%、Bloomberg調査)を下回った。自動車輸出の回復の鈍さが一因とみられる。輸出金額全体の季節調整値は前月比+0.9%と2カ月連続で増加した。他方、輸入金額は前年比+8.3%と2カ月ぶりに増加した。中東情勢の緊迫化や円安の進行もあって一部のエネルギー品目の輸入金額が上振れした。輸入金額全体の季節調整値は前月比▲0.5%と3カ月ぶりに減少した。貿易収支は▲4,625億円と2カ月ぶりの赤字となり、季節調整値では▲5,608億円と35カ月連続の赤字となった。2023年央以降、交易条件の改善が足踏みしていることもあって貿易赤字の縮小は停滞している。
◆4月の輸出数量は前月比+0.9%と2カ月連続で増加した。シリコンサイクル(世界半導体市場に見られる循環)の回復を背景に半導体等製造装置が増加したほか、小幅ながら自動車が輸出数量を押し上げた。自動車は一部メーカーの認証不正問題により国内生産が停滞していたが、供給体制は4月中におおむね正常化しており、この影響が部分的に表れた。地域別に見ると、米国向け(同▲2.4%)は減少した一方、EU向け(同+0.4%)やアジア向け(同+0.6%)が増加した。
◆先行きの輸出数量は年後半にかけて増加基調に転じるとみている。米国向け輸出は底堅く推移しており、需要の軟調さが続いてきた欧州では年後半にかけて成長率が加速する見込みだ。またシリコンサイクルが明確に回復していることから、半導体関連財の輸出増も見込まれる。ただし、日本の輸出管理の強化によって中国などに向けた先端技術分野の輸出が減少するリスクには引き続き注意が必要だ。
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