2024年3月貿易統計

2023年度の貿易赤字は5兆円超も赤字幅は前年度から大幅に縮小

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2024年04月17日

サマリー

◆2024年3月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+7.3%と4カ月連続で増加し、季節調整値で見ても前月比+2.6%と3カ月ぶりに増加した。半導体等製造装置の好調を主因に、輸出の実勢を示す輸出数量が増加した。輸入金額は前年比▲4.9%と2カ月ぶりに減少し、季節調整値では前月比+3.9%となった。これを受け、貿易収支は+3,665億円、季節調整値では▲7,015億円となった。また2023年度の貿易収支は▲5兆8,919億円と3年連続の赤字となったが、資源価格の低下などにより赤字幅は前年度から大幅に縮小した。

◆1-3月期の実質GDP成長率における外需寄与度はマイナスを見込む。財の輸出数量、輸入数量はともに前期比▲3.7%と試算される一方、サービス収支は1月、2月の合計で▲6,463億円(季節調整値)となった。3月の国際収支統計の結果次第ではあるものの、サービス収支が外需寄与度を押し下げる姿が予想される。

◆3月の輸出数量(大和総研による季節調整値)は前月比+3.7%と3カ月ぶりに増加した。前月に減少していた半導体等製造装置の輸出が中国向けを中心に復調した。他方、2023年中に挽回輸出が進んでいた自動車では減速感が強まった。地域別に見ると、米国向け(同▲2.4%)やEU向け(同▲10.4%)が減少した一方、アジア向け(同+8.0%)は増加に転じた。

◆先行きの輸出数量は横ばい圏で推移した後、年後半にかけて増加基調に転じるとみている。米欧で景気が減速する中で、当面はシリコンサイクル(世界半導体市場に見られる循環)の回復による半導体関連財の輸出増が下支えしよう。とりわけ半導体等製造装置は、日本の輸出総額に占める割合が一品目で3.6%(2023年度)と比較的大きいことから、先行きの下支え要因となる可能性が高い。

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