サマリー
◆2024年3月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+7.3%と4カ月連続で増加し、季節調整値で見ても前月比+2.6%と3カ月ぶりに増加した。半導体等製造装置の好調を主因に、輸出の実勢を示す輸出数量が増加した。輸入金額は前年比▲4.9%と2カ月ぶりに減少し、季節調整値では前月比+3.9%となった。これを受け、貿易収支は+3,665億円、季節調整値では▲7,015億円となった。また2023年度の貿易収支は▲5兆8,919億円と3年連続の赤字となったが、資源価格の低下などにより赤字幅は前年度から大幅に縮小した。
◆1-3月期の実質GDP成長率における外需寄与度はマイナスを見込む。財の輸出数量、輸入数量はともに前期比▲3.7%と試算される一方、サービス収支は1月、2月の合計で▲6,463億円(季節調整値)となった。3月の国際収支統計の結果次第ではあるものの、サービス収支が外需寄与度を押し下げる姿が予想される。
◆3月の輸出数量(大和総研による季節調整値)は前月比+3.7%と3カ月ぶりに増加した。前月に減少していた半導体等製造装置の輸出が中国向けを中心に復調した。他方、2023年中に挽回輸出が進んでいた自動車では減速感が強まった。地域別に見ると、米国向け(同▲2.4%)やEU向け(同▲10.4%)が減少した一方、アジア向け(同+8.0%)は増加に転じた。
◆先行きの輸出数量は横ばい圏で推移した後、年後半にかけて増加基調に転じるとみている。米欧で景気が減速する中で、当面はシリコンサイクル(世界半導体市場に見られる循環)の回復による半導体関連財の輸出増が下支えしよう。とりわけ半導体等製造装置は、日本の輸出総額に占める割合が一品目で3.6%(2023年度)と比較的大きいことから、先行きの下支え要因となる可能性が高い。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
- 
                                    
                                          2024年2月貿易統計 価格転嫁が一段と進み輸出金額は3カ月連続で増加 2024年03月21日 
- 
                                    
                                          2024年1月貿易統計 春節時期のずれの影響で輸出金額が上振れも内容は良くない 2024年02月21日 
- 
                                    
                                          2023年12月貿易統計 2023年は自動車の挽回輸出と資源高の一服で貿易収支が大幅に改善 2024年01月24日 
同じカテゴリの最新レポート
- 
                
                
                
                    2025年9月全国消費者物価 政策要因でコアCPI上昇率拡大も物価の上昇基調には弱さが見られる 2025年10月24日 
- 
                
                
                
                    2025年9月貿易統計 トランプ関税の悪影響続くも、円安効果で輸出金額は5カ月ぶり増加 2025年10月22日 
- 
                
                
                
                    2025年8月機械受注 非製造業(船電除く)を中心に弱含み、政府は基調判断を下方修正 2025年10月16日 
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
                                
                                    
                                      - 
                                              
                                          第226回日本経済予測(改訂版) 低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証 2025年09月08日 
- 
                                              
                                          聖域なきスタンダード市場改革議論 上場維持基準などの見直しにも言及 2025年09月22日 
- 
                                              
                                          今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは 金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表 2025年09月01日 
- 
                                              
                                          日本経済見通し:2025年9月 トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は? 2025年09月25日 
- 
                                              
                                          中国:2025年と今後10年の長期経済見通し 25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題 2025年01月23日 
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日





