サマリー
◆2024年1月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+11.9%と2カ月連続で増加した。主因は春節が2月にずれ込んだ影響による中国向け輸出の上振れだ。他方、季節調整値では前月比▲3.6%と2カ月ぶりに減少した。輸出の実勢を示す輸出数量は軟調であり、とりわけ米欧向けが下振れした。輸入金額は前年比▲9.6%と10カ月連続で減少し、季節調整値では前月比▲10.5%となった。これを受け、貿易収支は▲1兆7,583億円と2カ月ぶりの赤字となった。他方、季節調整値では+2,353億円と32カ月ぶりの黒字に転じた。
◆1月の輸出数量は前月比▲4.7%と2カ月ぶりに減少した。米中向けの自動車関連財が減少したほか、欧州向けでその他の幅広い品目が減少した。地域別に見ると、米国向け(同▲11.5%)やEU向け(同▲6.6%)が大きめの減少幅となった一方、アジア向け(同+4.5%)は増加を維持した。
◆先行きの輸出数量は当面は横ばい圏で推移した後、年後半にかけて増加基調に転じるとみている。短期的には、自動車の挽回輸出の加速が一服したことに加え、米欧の景気減速もあって日本からの輸出は伸び悩むだろう。他方、シリコンサイクル(世界半導体市場に見られる循環)の改善による半導体関連財の需要回復は下支え要因となる見込みだ。なお、2月に限っては春節の影響で中国向けが足を引っ張り、輸出数量が下振れする可能性が高い。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2023年12月貿易統計
2023年は自動車の挽回輸出と資源高の一服で貿易収支が大幅に改善
2024年01月24日
-
2023年11月貿易統計
工場稼働停止による自動車輸出数量の減少で輸出金額全体は伸び悩み
2023年12月20日
-
2023年10月貿易統計
円安や原油価格の上昇により貿易収支が悪化
2023年11月16日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日