サマリー
◆2024年2月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+7.8%と3カ月連続で増加した。価格転嫁の一段の進展で輸出価格が高い伸びとなったほか、春節の影響で営業日数が少なかったにもかかわらず、中国への輸出が底堅かったことが背景にある。他方、季節調整値で見れば前月比▲1.5%と2カ月連続で減少した。輸出の実勢を示す輸出数量の減少が主因であり、外需の動向は軟調と評価できる。輸入金額は前年比+0.5%と11カ月ぶりに増加した一方、季節調整値では前月比+3.8%となった。これを受け、貿易収支は▲3,794億円と2カ月連続の赤字、季節調整値では▲4,516億円と2カ月ぶりの赤字となった。
◆2月の輸出数量(大和総研による季節調整値)は前月比▲4.5%と2カ月連続で減少した。このところ輸出数量を下支えしていた半導体等製造装置が減少に転じた。主力の自動車は増加したが、水準で見れば2023年の月平均を下回っており、挽回輸出の息切れ感が強まっている。地域別に見ると、米国向け(同+3.0%)やEU向け(同+4.2%)が増加に転じた一方、アジア向け(同▲10.0%)は中国向け(同▲8.6%)の減少を主因に大幅なマイナスとなった。
◆先行きの輸出数量は横ばい圏で推移した後、年後半にかけて増加基調に転じるとみている。1月の世界半導体販売額(3カ月移動平均)は前年比+15.2%と、シリコンサイクル(世界半導体市場に見られる循環)の回復局面入りが示唆される。当面は半導体関連財の輸出が増加し、自動車の挽回輸出の加速の一服や米欧での景気減速の影響を相殺するとみている。
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