サマリー
◆2023年7月の貿易統計によると、輸出金額は前年比▲0.3%と29カ月ぶりに減少した。季節調整値では前月比+2.0%と、輸出数量の加速を主因に増加した。輸入金額は前年比▲13.5%と4カ月連続で減少した。季節調整値では前月比+2.0%と、輸入価格に下げ止まりの兆しが見られる中で2カ月連続の増加となった。貿易収支は▲787億円と2カ月ぶりの赤字となった。季節調整値では▲5,572億円と、6月と概ね同水準の赤字幅であった。
◆7月の輸出数量は前月比+3.5%と2カ月連続で増加した。均して見れば、輸出数量の回復傾向は鮮明化している。アジア向けの集積回路(IC)がけん引したほか、中国向けの半導体等製造装置が急増した。輸出数量を地域別に見ると、米国向け(同+7.1%)、EU向け(同+6.7%)、アジア向け(同+4.5%)のいずれも増加した。
◆先行きの輸出数量は緩やかな増加基調が続くとみている。半導体不足の緩和による挽回生産が加速する中、自動車などが輸出をけん引しよう。ただし、米欧ではタイトな金融環境の下で設備投資が下振れしやすく、日本からの資本財輸出が伸び悩む可能性がある。とりわけ半導体等製造装置については、半導体市場の不況や同装置の輸出規制の影響もあって低調となろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2023年6月貿易統計
貿易収支は23カ月ぶりの黒字転換も季節調整値では赤字が継続
2023年07月20日
-
2023年5月貿易統計
輸出増が一服も、季節調整値で見た貿易赤字は2カ月連続で縮小
2023年06月15日
-
2023年4月貿易統計
自動車輸出の増加を主因に貿易赤字の縮小が継続
2023年05月18日
同じカテゴリの最新レポート
-
「責任ある積極財政」下で進む長期金利上昇・円安の背景と財政・金融政策への示唆
「低水準の政策金利見通し」「供給制約下での財政拡張」が円安促進
2025年12月11日
-
2025年12月日銀短観予想
輸出不振や原材料高で製造業の業況判断DI(最近)は悪化を見込む
2025年12月10日
-
2025年7-9月期GDP(2次速報)
設備投資などが減少し、実質GDPは前期比年率▲2.3%に下方修正
2025年12月08日
最新のレポート・コラム
-
中国:来年も消費拡大を最優先だが前途多難
さらに強化した積極的な財政政策・適度に緩和的な金融政策を継続
2025年12月12日
-
「責任ある積極財政」下で進む長期金利上昇・円安の背景と財政・金融政策への示唆
「低水準の政策金利見通し」「供給制約下での財政拡張」が円安促進
2025年12月11日
-
FOMC 3会合連続で0.25%の利下げを決定
2026年は合計0.25%ptの利下げ予想も、不確定要素は多い
2025年12月11日
-
大和のクリプトナビ No.5 2025年10月以降のビットコイン急落の背景
ピークから最大35%下落。相場を支えた主体の買い鈍化等が背景か
2025年12月10日
-
12月金融政策決定会合の注目点
2025年12月12日
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

