サマリー
◆2023年6月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+1.5%と28カ月連続で増加した。自動車やその関連財がけん引役となり、輸出金額は緩やかな増加基調を辿っている。他方、輸入金額は同▲12.9%と3カ月連続で減少した。これを受け、貿易収支は+430億円と23カ月ぶりに黒字に転換した。もっとも、季節調整値では▲5,532億円と依然として赤字が続いている。
◆4-6月期の実質GDP成長率における外需寄与度はプラスに転じると見込む。同期の輸出数量(大和総研による季節調整値)は前期比+2.3%と、EU向け(同+8.6%)や中国向け(同+3.7%)の持ち直しを主因に堅調となった。他方で輸入数量は同+0.3%と、相対的に小幅な増加にとどまった。
◆6月の輸出数量は前月比+3.2%と2カ月ぶりに増加した。均して見れば、輸出数量は緩やかな回復基調を辿っている。地域別に見ると、米国向け(同+1.5%)、EU向け(同+2.5%)、アジア向け(同+1.1%)のいずれも増加した。
◆先行きの輸出数量は緩やかな増加基調を辿るとみている。輸出数量指数に2カ月ほど先行するOECD景気先行指数は底打ち感が強まっており、供給サイドにおいても明るい材料が見られる。供給制約が緩和する中、ペントアップ(繰越)需要が蓄積する自動車やその関連財が輸出をけん引しよう。ただし、米欧では政策金利が高水準にあり、資本財などの輸出は軟調さが続く見込みだ。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2023年5月貿易統計
輸出増が一服も、季節調整値で見た貿易赤字は2カ月連続で縮小
2023年06月15日
-
2023年4月貿易統計
自動車輸出の増加を主因に貿易赤字の縮小が継続
2023年05月18日
-
2023年3月貿易統計
2022年度は過去最大の貿易赤字に/1-3月期外需寄与度はマイナスか
2023年04月20日
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年12月日銀短観予想
輸出不振や原材料高で製造業の業況判断DI(最近)は悪化を見込む
2025年12月10日
-
2025年7-9月期GDP(2次速報)
設備投資などが減少し、実質GDPは前期比年率▲2.3%に下方修正
2025年12月08日
-
2025年10月消費統計
サービスや耐久財が弱く、総じて見れば前月から減少
2025年12月05日
最新のレポート・コラム
-
大和のクリプトナビ No.5 2025年10月以降のビットコイン急落の背景
ピークから最大35%下落。相場を支えた主体の買い鈍化等が背景か
2025年12月10日
-
開示府令の改正案が公表(2026年から一部適用)
有価証券報告書のサステナビリティ情報、人的資本、総会前開示に関する改正案
2025年12月10日
-
2025年12月日銀短観予想
輸出不振や原材料高で製造業の業況判断DI(最近)は悪化を見込む
2025年12月10日
-
議決権行使助言業者への依拠は共同保有認定
米国SECのウエダ委員が議決権行使助言業者規制の方向性を明らかに
2025年12月09日
-
日中関係悪化、中国は自国経済・社会の不安定化回避を優先か
2025年12月10日
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

