サマリー
◆2023年4月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+2.6%(季節調整値では前月比+2.5%)と、自動車輸出の回復を主因に好調な結果となった。他方、輸入金額は前年比▲2.3%(季節調整値では前月比+0.1%)と27カ月ぶりの減少に転じた。これを受け、貿易収支は▲4,324億円、季節調整値では▲1兆172億円となった。季節調整値で見た輸入金額は下げ止まっているが、自動車を中心とした輸出金額の上振れで貿易赤字は縮小しつつある。
◆4月の輸出数量(大和総研による季節調整値)は前月比+2.1%と2カ月ぶりに増加した。引き続き自動車の持ち直しが進んだほか、工場稼働率が回復した米国向けでは中間財が押し上げ要因となった。地域別に見ると、米国向け(同+4.1%)やEU向け(同+8.4%)が増加に転じた。他方、アジア向け(同▲0.9%)は2カ月連続で減少した。中国向け(同+3.3%)は鈍いながらも回復しているが、その他の地域向けが低調だったとみられる。
◆先行きの輸出数量は横ばいから緩やかな増加基調に転じるとみている。中国で自動車需要に回復の兆しが見られるほか、米国では景気が減速する中でも個人消費が底堅い。また夏以降は自動車の挽回生産、冬以降は米欧での景気回復によって輸出が上振れするとみている。ただし、7月に控える半導体製造装置の輸出規制によって中国向け輸出が下振れするリスクには注意が必要だ。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2023年3月貿易統計
2022年度は過去最大の貿易赤字に/1-3月期外需寄与度はマイナスか
2023年04月20日
-
2023年2月貿易統計
春節要因の剥落で輸出は増加したが物足りない結果に
2023年03月16日
-
2023年1月貿易統計
貿易赤字額は過去最大も中国の春節要因が大きい
2023年02月16日
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年7月機械受注
金融業・保険業、不動産業などの受注減で軟調な結果
2025年09月18日
-
2025年8月貿易統計
トランプ関税や半導体需要減の影響継続で輸出金額は4カ月連続減少
2025年09月17日
-
トランプ関税でインバウンドに黄色信号
中国人旅行客の伸びしろは大きいものの、他国の状況は厳しい
2025年09月16日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日