サマリー
◆2023年3月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+4.3%(季節調整値では前月比▲0.8%)、輸入金額は前年比+7.3%(同、前月比▲1.2%)となった。貿易収支は▲7,545億円(同、▲1兆2,099億円)と、赤字幅は緩やかな縮小傾向にある。2022年度で見ると、貿易収支は▲21兆7,285億円と過去最大の赤字幅を記録した。輸出数量(前年比▲3.9%)が減少した一方、輸入数量(同▲1.6%)の底堅さや輸入インフレが輸入金額を押し上げた。
◆1-3月期の実質GDP成長率における外需寄与度はマイナスに転じるとみている。輸出数量(大和総研による季節調整値)は前期比▲4.9%と、中国向け(同▲10.3%)やEU向け(同▲9.3%)の減少を主因に伸び悩んだ。他方、輸入数量は同▲1.9%と相対的に小幅な減少にとどまった。また、足元では訪日外客数の急回復がサービス輸出を押し上げているが、金額ベースで見れば財輸出の減少を補うには至っていない。
◆3月の輸出数量(大和総研による季節調整値)は前月から横ばいであった。半導体不足の緩和により米欧向けの自動車輸出が好調となったが、外需が縮小する中でその他の幅広い品目が足を引っ張った。地域別に見ると、米国向け(前月比+2.4%)やEU向け(同+1.7%)が増加した一方、アジア向け(同▲4.3%)は減少に転じた。
◆先行きの輸出数量は、米国の景気減速を主因に減少基調を辿るとみている。中国では景気回復の兆しが見られるが、財消費の持ち直しは鈍く、日本の輸出に対する押し上げ圧力は限定的だろう。他方、足元ではFRBが年央頃に利上げを停止するとの見方が強い。これが実現すれば、中国経済の回復や供給制約の緩和もあって年後半にも輸出数量は増加に転じるとみている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2023年2月貿易統計
春節要因の剥落で輸出は増加したが物足りない結果に
2023年03月16日
-
2023年1月貿易統計
貿易赤字額は過去最大も中国の春節要因が大きい
2023年02月16日
-
2022年12月貿易統計
輸出の伸び悩みなどにより2022年の貿易赤字額は統計開始以来最大に
2023年01月19日
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年4月全国消費者物価
エネルギー高対策の補助縮小や食料価格高騰が物価を押し上げ
2025年05月23日
-
AI時代の日本の人的資本形成(個人編)
AI時代を生き抜くキャリア自律に向けた戦略
2025年05月22日
-
2025年3月機械受注
民需(船電除く)は事前予想に反して2カ月連続で増加
2025年05月22日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日