サマリー
◆2022年12月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+11.5%と増加した一方、季節調整値では前月比▲3.5%と、輸出数量の伸び悩みを背景に減少した。輸入金額は前年比+20.6%と増加したが、円安の緩和などにより伸び率は2カ月連続で急激に鈍化した。これを受け、貿易収支は▲1兆4,485億円と17カ月連続の赤字となった。また2022年の貿易収支は▲19兆9,713億円と2年連続で赤字となり、統計開始以来最大の赤字幅を記録した。
◆12月の輸出数量(大和総研による季節調整値)は前月比▲5.0%と2カ月連続で減少した。前月に大きく回復したEU向け自動車輸出で反動減が表れたほか、アジア向けの半導体等製造装置や集積回路(IC)といった半導体関連財の輸出が減少した。地域別に見ると、米国向け(同+0.7%)が増加した一方、EU向け(同▲3.2%)やアジア向け(同▲6.3%)は減少した。
◆先行きの輸出数量は横ばい圏で推移した後、中国経済の正常化に沿って増加基調に転じるとみている。供給制約の緩和や中国の「ウィズコロナ」政策への転換が押し上げ要因となるだろう。ただし、米欧における利上げの影響には引き続き注意が必要だ。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2022年11月貿易統計
輸出は冴えないが輸入額の増加ペースが鈍化し貿易収支は改善
2022年12月15日
-
2022年10月貿易統計
対中輸出の減少と輸入金額の増加により貿易赤字が拡大
2022年11月17日
-
2022年9月貿易統計
輸入金額に頭打ちの兆しが表れ貿易赤字が縮小
2022年10月20日
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年4月全国消費者物価
エネルギー高対策の補助縮小や食料価格高騰が物価を押し上げ
2025年05月23日
-
AI時代の日本の人的資本形成(個人編)
AI時代を生き抜くキャリア自律に向けた戦略
2025年05月22日
-
2025年3月機械受注
民需(船電除く)は事前予想に反して2カ月連続で増加
2025年05月22日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日