サマリー
◆2022年9月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+28.9%と19カ月連続で増加したが、輸出の実勢を示す輸出数量(大和総研による季節調整値)は前月から小幅な増加にとどまった。他方、輸入金額については同+45.9%と前月から伸びが鈍化したことで、貿易収支は▲2兆940億円、季節調整値では▲2兆98億円と、赤字幅が縮小した。これを受け、7-9月期の実質GDP成長率における外需寄与度は僅かなプラスを予想する。
◆9月の輸出数量(大和総研による季節調整値)は前月比+0.2%と2カ月ぶりに増加した。供給制約の緩和を背景に自動車輸出が大幅に増加したが、一部の品目における前月の増加の反動などの短期的な要因が全体を押し下げ、輸出数量は小幅なプラスにとどまった。地域別に見ると、EU向け(同+7.5%)やアジア向け(同+1.3%)が増加した一方、米国向け(同▲7.1%)は前月の大幅増の反動で減少に転じた。
◆先行きの輸出数量は非常に緩やかな増加基調を辿るとみている。供給制約の緩和や中国経済の正常化の進展が好材料となろう。車載向け半導体不足の緩和が進む中で、積み上がった仕掛品在庫を原動力に自動車生産が復調するとみている。他方、米欧で景気後退が現実味を帯びてきている点には注意が必要だ。
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