サマリー
◆2022年10月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+25.3%と20カ月連続で増加した。ただし、輸出の実勢を示す輸出数量(大和総研による季節調整値)は対中輸出の減少や自動車輸出の急回復の一服により前月比で非常に緩やかな増加にとどまった。他方、輸入金額は前年比+53.5%と前月から伸び率が急上昇した。これを受けて貿易収支は▲2兆1,623億円(季節調整値では▲2兆2,992億円)となり、赤字は高止まりしている。
◆10月の輸出数量(大和総研による季節調整値)は前月比+0.5%と、2カ月連続で小幅に増加した。このところ急回復していた自動車輸出が一服した。地域別に見ると、米国向け(同+0.1%)が増加した一方、EU向け(同▲0.7%)やアジア向け(同▲2.5%)は減少に転じた。アジア向けは、中国向け(同▲10.1%)の急減による影響が大きかった。
◆先行きの輸出数量は非常に緩やかな増加基調を辿るとみている。供給制約の緩和や中国経済の正常化の進展、円安が押し上げ要因となろう。他方で米欧を中心に外部環境は悪化しており、とりわけ欧州向けは景気後退によって減少基調に転じるとみている。
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