サマリー
◆2022年11月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+20.0%と21カ月連続で増加した。他方、輸出数量(大和総研による季節調整値)は3カ月ぶりに減少した。輸入金額は同+30.3%と伸び率が前月から急速に鈍化し、交易条件が小幅に改善した。これを受け、貿易収支は▲2兆274億円と16カ月連続の赤字となった。季節調整値では▲1兆7,323億円となっており、8月をピークに赤字額は減少傾向に転じている。
◆11月の輸出数量(大和総研による季節調整値)は前月比▲1.6%と、3カ月ぶりに減少した。主力の自動車輸出が回復する一方で、半導体関連財の不況や外需の縮小による資本財・中間財輸出の減少が足を引っ張った。他方、欧州向けを中心に自動車輸出の回復が一層進んだ。地域別に見ると、米国向け(同▲5.3%)やアジア向け(同▲4.8%)が減少した一方、EU向け(同+2.8%)は増加に転じた。
◆先行きの輸出数量は横ばい圏で推移した後、中国経済の正常化の進展を背景に増加基調に転じるとみている。供給制約の緩和や中国での「ゼロコロナ」政策の緩和が押し上げ要因となる一方、米欧における利上げの継続が輸出の重しとなる見込みだ。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2022年10月貿易統計
対中輸出の減少と輸入金額の増加により貿易赤字が拡大
2022年11月17日
-
2022年9月貿易統計
輸入金額に頭打ちの兆しが表れ貿易赤字が縮小
2022年10月20日
-
2022年8月貿易統計
対中輸出の回復が鈍く貿易赤字は過去最大に
2022年09月15日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
米GDP 前期比年率+2.8%と加速
2024年4-6月期米GDP:内需主導での堅調さを維持
2024年07月26日
-
監査・ガバナンス強化へ回帰する英国
昨年撤回した監査強化方針を復活し、ガバナンス・コードも厳格化へ
2024年07月25日
-
女性がキャリアを築ける職場ほど、子どもを持ちやすい
健保組合ごとの被保険者・被扶養者の出生率と、その要因の多変量解析
2024年07月24日
-
GX経済移行債に期待されるインパクトレポーティング
~GXの理解醸成促進に向けて~『大和総研調査季報』2024年夏季号(Vol.55)掲載
2024年07月24日
-
盛り上がりに欠ける英国の政権交代
2024年07月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
-
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日