サマリー
◆2022年7月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+19.0%と17カ月連続で増加し、コンセンサス(同+17.6%)を上回った。供給制約が緩和する中で主力の自動車輸出の回復が進んでいる。他方、輸入金額は同+47.2%と大幅に増加した。貿易収支は▲1兆4,368億円と12カ月連続の赤字となり、季節調整値では▲2兆1,333億円と過去最大の赤字幅であった。
◆7月の輸出数量(大和総研による季節調整値)は前月から横ばいであった。供給制約の緩和を背景に自動車が回復した一方、米国向けの中間財が全体を押し下げた。地域別に見ると、EU向け(前月比+7.4%)やアジア向け(同+1.4%)が増加した一方、米国向け(同▲4.1%)は減少に転じた。
◆先行きの輸出数量は緩やかな増加基調を辿るとみている。中国経済の正常化に伴って部品調達難が引き続き緩和され、自動車や中間財・資本財の輸出が持ち直すだろう。他方、米国では財消費が鈍化し、欧州では金融引き締めの開始やエネルギー供給に対する不安がくすぶっている。中国においても新型コロナウイルス感染再拡大が警戒されており、引き続き外需の先行き不透明感が強い点には注意が必要だ。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2022年6月貿易統計
供給制約の緩和により輸出の復調が進む
2022年07月21日
-
2022年5月貿易統計
円安・資源高で輸入額が過去最高を更新する一方、輸出数量は小幅増
2022年06月16日
-
2022年4月貿易統計
輸出金額、輸出数量ともに中国向けが足を引っ張る
2022年05月19日
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年4月全国消費者物価
エネルギー高対策の補助縮小や食料価格高騰が物価を押し上げ
2025年05月23日
-
AI時代の日本の人的資本形成(個人編)
AI時代を生き抜くキャリア自律に向けた戦略
2025年05月22日
-
2025年3月機械受注
民需(船電除く)は事前予想に反して2カ月連続で増加
2025年05月22日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日