サマリー
◆2022年6月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+19.4%と16カ月連続で増加した。供給制約の緩和が進む中で円安による輸出数量の押し上げ効果が表れ、輸出の復調が進んでいる。他方、輸入金額は同+46.1%と大幅に増加した。貿易収支は▲1兆3,838億円と11カ月連続の赤字となり、4-6月期の赤字幅(季節調整値)は▲5兆3,777億円と過去最大であった。これを受け、4-6月期の実質GDP成長率における外需寄与度は小幅なマイナスとなる見込みだ。
◆6月の輸出数量(大和総研による季節調整値)は前月比+2.0%と2カ月連続で増加した。部品調達難の緩和を背景に、自動車輸出の回復が全体を大きく押し上げた。米国向け(同+0.6%)やEU向け(同+5.9%)が増加に転じた一方、アジア向け(同▲1.0%)は前月の大幅増の反動により減少した。中国向け(同+10.5%)は大きく持ち直した。
◆先行きの輸出数量は緩やかな増加基調を辿るとみている。中国経済の正常化が進むことで部品調達難の緩和が進み、引き続き自動車輸出などが持ち直すだろう。また、足元では日本国内で新型コロナウイルスの感染が再拡大する中でも職場への人出の減少幅は小さく、年初のようなボトルネックが生じる可能性は低いとみられる。他方、欧米をはじめとする外需の先行き不透明感は強く、引き続きリスク要因を注視する必要がある。
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