「全国旅行支援」は旅行需要の起爆剤となるか

10月初めから来春までの実施でGo Toを上回る2.0兆円の経済効果

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2022年09月16日

  • 経済調査部 エコノミスト 中村 華奈子
  • 経済調査部 エコノミスト 小林 若葉

サマリー

◆新型コロナウイルスの感染「第7波」の影響で実施が先送りされていた「全国旅行支援」は、今秋にも開始される見込みだ。観光庁が6月に公表した資料に基づくと、全国旅行支援は地方観光業への支援強化や感染拡大リスクの抑制に配慮して制度設計される。また、旅行代金の割引率は一律40%であり、Go To トラベルキャンペーン(以下、Go To トラベル)の同35%を上回るため、低価格帯の県外旅行需要が刺激されそうだ。

◆全国旅行支援が10月初めから2023年3月末まで実施される場合、追加的に発生する需要は2.0兆円程度(直接効果:1.5兆円程度、波及効果:0.4兆円程度)と試算される。想定のように実施されれば、Go To トラベルを上回る経済効果が期待される。全国旅行支援の実施後は、宿泊事業者が増加する需要に対応することができるかどうかや、制度終了時に見込まれる駆け込み需要と反動減への対応などが課題となろう。

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