サマリー
◆2022年4月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+12.5%と14カ月連続で増加したものの、コンセンサス(同+13.9%)を下回った。輸入金額はエネルギー価格の高騰などを背景に同+28.2%と大幅増が続いている。これを受け、貿易収支は▲8,392億円となった。季節調整値では1兆▲6,189億円と、比較可能な2012年5月以降では2番目に大きな赤字幅となった。
◆4月の輸出数量(大和総研による季節調整値)は前月比▲2.5%と、3カ月ぶりに減少した。米国向け(同▲4.4%)やEU向け(同▲4.0%)で前月の急増からの反動が見られた一方、アジア向け(同+0.8%)は増加に転じた。ただし、中国向けに限れば2カ月連続の大幅減となった。
◆先行きの輸出数量は伸び悩みが継続するとみている。ゼロコロナ政策を掲げる中国では当面厳しい新型コロナウイルスの感染防止措置が取られるとみられ、引き続き日本から中国向けの輸出は低迷しよう。今後は、中国での感染の抑え込みの動向が日本の輸出の回復時期を左右する。また、中国経済の鈍化やウクライナ危機が世界経済を圧迫し、間接的に日本の輸出の下押し要因となる可能性にも注意が必要だ。
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