サマリー
◆2022年5月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+15.8%と15カ月連続で増加し、概ねコンセンサス(同+16.1%)通りの結果となった。ただし、輸出数量(大和総研による季節調整値)は自動車減産などの影響で小幅増にとどまった。輸入金額は円安の急進や資源高を背景に前年比+48.9%となり、水準では過去最高を記録した。これを受け、貿易収支は▲2兆3,847億円(季節調整値では▲1兆9,314億円)となった。
◆5月の輸出数量(大和総研による季節調整値)は前月比+1.7%と2カ月ぶりに増加した。米国向け(同▲4.4%)やEU向け(同▲3.6%)では、自動車輸出の減少が全体を大きく押し下げた。他方、アジア向け(同+7.7%)が増加し全体を押し上げた。中国向け(同▲1.9%)の減少幅が4月から縮小した。
◆先行きの輸出数量は増加基調に転じるとみている。中国経済の正常化が世界経済の追い風となるほか、部品調達難が緩和されて自動車輸出などが持ち直すだろう。とはいえ、中国でのロックダウン(都市封鎖)の再導入やウクライナ危機による資源高、欧米での金融引締めに伴う景気減速といったリスク要因が残っている点には注意が必要だ。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2022年4月貿易統計
輸出金額、輸出数量ともに中国向けが足を引っ張る
2022年05月19日
-
2022年3月貿易統計
半導体不足などにより輸出の伸び悩みが継続
2022年04月20日
-
2022年2月貿易統計
貿易赤字が継続、ウクライナ侵攻による輸入への影響も懸念材料
2022年03月16日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日