サマリー
◆2022年2月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+19.1%と12カ月連続で増加した。輸入金額は、新型コロナウイルスのワクチン調達やエネルギー価格の高騰などを背景に同+34.0%と大幅増が続いている。これを受け、貿易収支は▲6,683億円と7カ月連続の赤字となった。季節調整値で見ると▲1兆314億円と、コロナショックで輸出が急減した2020年4月並みの赤字幅となった。
◆2月の輸出数量(大和総研による季節調整値)は前月比+0.7%と3カ月ぶりに増加した。米国向け(同+2.5%)やアジア向け(同+2.4%)が増加した一方、EU向け(同▲9.4%)は減少に転じた。
◆先行きの輸出は足踏みするとみている。欧州の一部地域では新規感染者数のリバウンドによって人流が減少しており、アジアでも中国や韓国などで感染が急拡大している。感染拡大が世界経済の回復を阻害し、日本からの輸出は伸びにくくなるだろう。他方、ロシアによるウクライナ侵攻が日本の輸出に与える直接的な影響は大きくないとみている。むしろ、輸入面で日本国内に影響が及ぶ経路を注視する必要があろう。ロシアへの依存度が高い品目などの輸入が減少することで、国内の基幹産業のサプライチェーンに悪影響が及ぶ可能性がある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2022年1月貿易統計
ワクチンの輸入増加などにより貿易赤字が急拡大
2022年02月17日
-
2021年12月貿易統計
輸出数量の回復が鈍く10-12月期の外需寄与度はゼロ近傍に
2022年01月20日
-
2021年11月貿易統計
自動車輸出の回復が本格化し輸出金額は大幅増
2021年12月16日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
米GDP 前期比年率+2.8%と加速
2024年4-6月期米GDP:内需主導での堅調さを維持
2024年07月26日
-
監査・ガバナンス強化へ回帰する英国
昨年撤回した監査強化方針を復活し、ガバナンス・コードも厳格化へ
2024年07月25日
-
女性がキャリアを築ける職場ほど、子どもを持ちやすい
健保組合ごとの被保険者・被扶養者の出生率と、その要因の多変量解析
2024年07月24日
-
GX経済移行債に期待されるインパクトレポーティング
~GXの理解醸成促進に向けて~『大和総研調査季報』2024年夏季号(Vol.55)掲載
2024年07月24日
-
盛り上がりに欠ける英国の政権交代
2024年07月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
-
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日