2022年2月貿易統計

貿易赤字が継続、ウクライナ侵攻による輸入への影響も懸念材料

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2022年03月16日

サマリー

◆2022年2月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+19.1%と12カ月連続で増加した。輸入金額は、新型コロナウイルスのワクチン調達やエネルギー価格の高騰などを背景に同+34.0%と大幅増が続いている。これを受け、貿易収支は▲6,683億円と7カ月連続の赤字となった。季節調整値で見ると▲1兆314億円と、コロナショックで輸出が急減した2020年4月並みの赤字幅となった。

◆2月の輸出数量(大和総研による季節調整値)は前月比+0.7%と3カ月ぶりに増加した。米国向け(同+2.5%)やアジア向け(同+2.4%)が増加した一方、EU向け(同▲9.4%)は減少に転じた。

◆先行きの輸出は足踏みするとみている。欧州の一部地域では新規感染者数のリバウンドによって人流が減少しており、アジアでも中国や韓国などで感染が急拡大している。感染拡大が世界経済の回復を阻害し、日本からの輸出は伸びにくくなるだろう。他方、ロシアによるウクライナ侵攻が日本の輸出に与える直接的な影響は大きくないとみている。むしろ、輸入面で日本国内に影響が及ぶ経路を注視する必要があろう。ロシアへの依存度が高い品目などの輸入が減少することで、国内の基幹産業のサプライチェーンに悪影響が及ぶ可能性がある。

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