サマリー
◆2021年11月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+20.5%と9カ月連続で増加した。自動車輸出の持ち直しが本格化したことで、全体の増加ペースも大幅に回復した。季節調整値では前月比+5.3%と2カ月連続で増加し、9月の減速分を補って余りある伸びとなった。輸入金額は前年比+43.8%と、エネルギー品目の高騰を背景に大幅増が続いている。季節調整値で見ても前月比+5.9%と4カ月連続で増加しており、依然として高水準だ。これを受けて貿易収支は▲9,548億円となった。季節調整値では▲4,868億円となり、7カ月連続の赤字であった。
◆輸出数量(大和総研による季節調整値)は前月比+6.8%と2カ月連続で増加した。地域別に見ると、米国向け(同+3.7%)、EU向け(同+3.4%)、アジア向け(同+2.7%)のいずれも増加した。
◆先行きの輸出は緩やかな増加基調を辿るだろう。主力の自動車分野では挽回輸出が進むとみられる。ただし、世界的な半導体不足が継続する中では急激な生産の増加を見込みにくく、供給制約の緩和に伴って徐々に輸出額が回復していく姿が想定される。また新型コロナウイルスのオミクロン株の感染が拡大しており、各国における消費機会の減少が日本からの輸出の下振れリスクとなろう。
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