サマリー
◆2022年1月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+9.6%と11カ月連続で増加したものの、コンセンサス(同+17.1%)を大きく下回った。1月下旬に複数の自動車メーカーが国内で減産を行った影響によるものとみられる。輸入金額はエネルギー価格などの高騰を背景に同+39.6%と大幅増が続いている。また、新型コロナウイルスのワクチンの輸入増によって輸入数量が大きく押し上げられた。これを受け、貿易収支は▲2兆1,911億円と、8年ぶりの赤字幅となった。季節調整値で見ても▲9,326億円となり、赤字幅はコロナショックで輸出が急減した2020年4月以来の大きさとなった。
◆輸出数量(大和総研による季節調整値)は前月比▲0.4%と2カ月連続で減少した。米国向け(同▲4.1%)の自動車関連財が全体を押し下げた。他方、EU向け(同+8.6%)やアジア向け(同+4.9%)は増加に転じた。もっとも、アジア向け輸出には、2月の春節に備えた輸出の前倒しが含まれている可能性がある。
◆先行きの輸出は緩やかな増加基調を辿るだろう。欧米では新規感染者数がピークアウトしており、今後は人出の回復に伴って消費機会が増加するとみられる。ただし、半導体不足が2022年後半まで継続するとみられることから、自動車などの増産が抑制されることで輸出の増加ペースは緩やかになるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2021年12月貿易統計
輸出数量の回復が鈍く10-12月期の外需寄与度はゼロ近傍に
2022年01月20日
-
2021年11月貿易統計
自動車輸出の回復が本格化し輸出金額は大幅増
2021年12月16日
-
2021年10月貿易統計
自動車輸出に回復が見られるも半導体不足により増勢は弱い
2021年11月17日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
中国:金融緩和など景気刺激策を発表も効果は?
人民銀行総裁が預金準備率の引き下げ、住宅市場テコ入れ策を「予告」
2024年09月26日
-
石破新政権誕生、経済政策の注目点は?
デフレ脱却後も見据えた供給面重視の経済・財政運営に期待
2024年10月03日
-
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
中国経済見通し:なりふり構わぬテコ入れ策発動
金融緩和、住宅市場テコ入れ策、株価対策、国債増発
2024年10月22日
中国:金融緩和など景気刺激策を発表も効果は?
人民銀行総裁が預金準備率の引き下げ、住宅市場テコ入れ策を「予告」
2024年09月26日
石破新政権誕生、経済政策の注目点は?
デフレ脱却後も見据えた供給面重視の経済・財政運営に期待
2024年10月03日
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
中国経済見通し:なりふり構わぬテコ入れ策発動
金融緩和、住宅市場テコ入れ策、株価対策、国債増発
2024年10月22日