2021年12月貿易統計

輸出数量の回復が鈍く10-12月期の外需寄与度はゼロ近傍に

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2022年01月20日

サマリー

◆2021年12月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+17.5%と10カ月連続で増加した。季節調整値では前月比▲0.2%と小幅ながら3カ月ぶりに減少した。輸出価格の上昇が輸出金額を下支えしたが、輸出数量の減少がこれを上回った。輸入金額は前年比+41.1%と大幅増が続いている。貿易収支(季節調整値)は▲4,353億円と、8カ月連続の赤字であった。また2021年10-12月期の貿易収支(同)は▲1兆3,270億円と、7-9月期(同、▲9,278億円)から赤字幅が拡大した。ただし数量ベースで見れば輸出入ともに同程度の伸び率であったことから、10-12月期の実質GDP成長率における外需寄与度はゼロ近傍になるとみている。

◆輸出数量(大和総研による季節調整値)は前月比▲2.2%と3カ月ぶりに減少した。米国向け(同+2.2%)が堅調に推移する一方で、EU向け(同▲4.6%)やアジア向け(同▲3.3%)が減少に転じ全体を押し下げた。

◆先行きの輸出は緩やかな増加基調を辿るだろう。米国向けを中心に主力の自動車関連財で挽回輸出が進むとみられる。ただし、世界各国で新型コロナウイルスのオミクロン株の感染拡大が続いており、各国における消費機会の減少が日本の輸出の下振れリスクとなる点には注意が必要だ。

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