サマリー
◆2021年12月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+17.5%と10カ月連続で増加した。季節調整値では前月比▲0.2%と小幅ながら3カ月ぶりに減少した。輸出価格の上昇が輸出金額を下支えしたが、輸出数量の減少がこれを上回った。輸入金額は前年比+41.1%と大幅増が続いている。貿易収支(季節調整値)は▲4,353億円と、8カ月連続の赤字であった。また2021年10-12月期の貿易収支(同)は▲1兆3,270億円と、7-9月期(同、▲9,278億円)から赤字幅が拡大した。ただし数量ベースで見れば輸出入ともに同程度の伸び率であったことから、10-12月期の実質GDP成長率における外需寄与度はゼロ近傍になるとみている。
◆輸出数量(大和総研による季節調整値)は前月比▲2.2%と3カ月ぶりに減少した。米国向け(同+2.2%)が堅調に推移する一方で、EU向け(同▲4.6%)やアジア向け(同▲3.3%)が減少に転じ全体を押し下げた。
◆先行きの輸出は緩やかな増加基調を辿るだろう。米国向けを中心に主力の自動車関連財で挽回輸出が進むとみられる。ただし、世界各国で新型コロナウイルスのオミクロン株の感染拡大が続いており、各国における消費機会の減少が日本の輸出の下振れリスクとなる点には注意が必要だ。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2021年11月貿易統計
自動車輸出の回復が本格化し輸出金額は大幅増
2021年12月16日
-
2021年10月貿易統計
自動車輸出に回復が見られるも半導体不足により増勢は弱い
2021年11月17日
-
2021年9月貿易統計
サプライチェーンの混乱を受け自動車輸出が急減
2021年10月20日
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年9月機械受注
製造業からの受注額の大幅増で民需(船電除く)は3カ月ぶりに増加
2025年11月19日
-
世界が再注目、実現に動き出すソブリンAI
日本のAI基本計画が描くデータ主権と技術的自立への道筋
2025年11月19日
-
2025年7-9月期GDP(1次速報)
6四半期ぶりのマイナス成長だが景気の緩やかな回復基調は継続
2025年11月17日

