サマリー
◆2021年10月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+9.4%と8カ月連続で増加したものの、増加ペースは鈍化が続いている。自動車輸出が持ち直したことで、季節調整値では前月比+2.7%と2カ月ぶりに増加したものの、10月の自動車輸出の増加分は9月の急減を補うには至らなかった。輸入金額は前年比+26.7%と大幅増が続いており、高騰するエネルギー品目が押し上げた。季節調整値で見ても前月比+0.3%と小幅に増加しており、高水準が続いている。これを受けて貿易収支は▲674億円となった。季節調整値では▲4,447億円となり、6カ月連続の赤字であった。
◆輸出数量(大和総研による季節調整値)は前月比+2.5%と4カ月ぶりに増加した。地域別に見ると、米国向け(同+10.1%)とEU向け(同+4.5%)は増加に転じた一方、アジア向け(同▲1.7%)は6カ月連続で減少した。
◆先行きの輸出は緩やかな増加基調を辿るだろう。9月以前はベトナムやマレーシアなどでのロックダウンにより、工業製品の部品調達難や追加的な半導体不足が生じ、輸出の減少要因となった。こうした状況は足元で改善しつつあり、今後は主力の自動車を中心に挽回輸出が見られよう。ただし、依然として世界的な半導体不足が継続する中では急激な挽回生産を見込みにくく、供給制約の緩和に伴って徐々に輸出額が回復していく姿が想定される。
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