サマリー
◆【企業部門】2021年8月の輸出や生産は減少した。輸出数量指数は世界的な半導体不足などの供給制約を受け、前月比▲0.8%と2カ月連続で低下した。鉱工業生産指数は同▲3.6%であった。供給制約を受けた自動車工業の大幅減産が影響した。第3次産業活動指数は同▲1.7%と2カ月連続で低下した。西日本を中心とした天候不順に加え、緊急事態宣言などの延長・対象地域拡大の影響を受け、「生活娯楽関連サービス」などが全体を押し下げた。
◆【家計部門】2021年8月の消費、雇用、賃金はまちまちの内容であった。二人以上世帯の消費額は前月比▲3.9%であった。雇用関連指標では、完全失業率が2.8%と前月から横ばいであった。就業者数は32万人減少したが、その多くは非労働力化したことで失業者が1万人の増加にとどまったためであり、内容は悪い。有効求人倍率は1.14倍と前月からわずかに低下した。所得関連指標では、現金給与総額は前年比で0.7%増加し、前月比(季節調整値)でも0.6%増加した。ただし所定外給与の回復には業種・就業形態により偏りが見られる。
◆【四半期指標】2021年9月短観によると、大企業製造業の業況判断DI(最近)は+18%pt(前回差+4%pt)、大企業非製造業は+2%pt(同+1%pt)といずれも2021年6月の前回調査から上昇した。製造業では資源高や半導体需要の増加を受け素材業種が全体を押し上げた一方、供給制約を受けた「自動車」では業況判断DIが低下した。非製造業では「対事業所サービス」などで景況感の改善が見られたものの、「対個人サービス」や「小売」では緊急事態宣言等の影響を受け、業況判断DIが低下した。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年8月貿易統計
トランプ関税や半導体需要減の影響継続で輸出金額は4カ月連続減少
2025年09月17日
-
トランプ関税でインバウンドに黄色信号
中国人旅行客の伸びしろは大きいものの、他国の状況は厳しい
2025年09月16日
-
経済指標の要点(8/19~9/12発表統計分)
2025年09月12日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日