サマリー
◆2021年5月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+49.6%と大幅に増加し、現行統計史上2番目に高い伸び率を記録した。とりわけ全体を押し上げたのは、自動車や同部分品、鉄鋼などであった。ただしこれは前年同月のコロナショックによる急減の裏の影響によるもので、季節調整値で見ると輸出金額は前月から横ばいであった。中国向け輸出が振るわなかったが、足踏み状態にあった欧米向け輸出の増加がこれを補った。
◆輸出数量(大和総研による季節調整値)は前月比▲2.0%と3カ月ぶりに減少した。地域別に見ると、前月の増加の反動によって中国向け(同▲8.2%)の減少が全体を大きく押し下げた一方、米国向け(同+5.0%)やEU向け(同+5.5%)は増加に転じた。
◆先行きの輸出は増加が続くとみている。高水準のインフラ投資が期待される中国向けの輸出が引き続き全体をけん引するほか、行動制限措置の緩和が進む欧州向け輸出は回復が加速していくだろう。ただし、世界的な半導体不足が国内の自動車生産を抑制し、輸出の足かせとなる可能性には留意が必要だ。
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