サマリー
◆2021年4月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+38.0%と大幅に増加し、11年ぶりの高い伸び率となった。季節調整値で見ると前月比+2.5%と2ヶ月連続で増加した。中国向けの半導体等製造装置が全体をけん引し、輸出金額(季節調整値)は米中貿易摩擦が本格化する前の2018年の水準近くまで回復した。
◆輸出数量(大和総研による季節調整値)は前月比+0.1%とほぼ横ばいであった。地域別に見ると、米国向け(同▲1.0%)やEU向け(同▲4.3%)が減少に転じた一方、アジア向け(同+0.7%)は2ヶ月連続で増加した。米国向け、EU向けでは前月に増加に寄与していた乗用車が減少した。アジア向けでは中国向けの半導体等製造装置がけん引役となったほか、中国以外の地域向けの乗用車が増加した。
◆輸出の先行きは増加基調が継続するとみている。とりわけ大規模な経済対策が実施されている米国向けや、高水準のインフラ投資が見込まれる中国向けの輸出が全体をけん引するだろう。ただし、世界的な半導体不足が国内の自動車生産を抑制し、輸出が伸び悩む可能性には留意が必要だ。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2021年3月貿易統計
輸出金額は特殊要因で減少した前月から大幅に増加
2021年04月19日
-
2021年2月貿易統計
春節や寒波の影響で輸出は減少も均せば横ばい
2021年03月17日
-
2021年1月貿易統計
春節に向けた輸出の前倒しが発現するも、輸出数量は足踏み継続
2021年02月17日
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年4月全国消費者物価
エネルギー高対策の補助縮小や食料価格高騰が物価を押し上げ
2025年05月23日
-
AI時代の日本の人的資本形成(個人編)
AI時代を生き抜くキャリア自律に向けた戦略
2025年05月22日
-
2025年3月機械受注
民需(船電除く)は事前予想に反して2カ月連続で増加
2025年05月22日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日