サマリー
◆2021年3月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+16.1%とコンセンサス(同+11.4%)を大きく上回った。季節調整値で見ると、前月比+4.5%と2ヶ月ぶりに増加した。2月は春節がずれ込んだ影響で中国などのアジア向け輸出が減少したほか、寒波の影響などで米国向け輸出が減少していたが、3月はその反動増が表れたとみられる。また、EU向け輸出の大幅な増加も全体を後押しした。
◆輸出数量(大和総研による季節調整値)は前月比+4.0%と2ヶ月ぶりに増加した。地域別に見ると、米国向け(同+5.3%)、EU向け(同+15.1%)、アジア向け(同+7.6%)のいずれも増加した。米国向け、アジア向けでは前月に減少していた品目が増加に転じた。EU向けでは乗用車に加えて中間財の輸出が好調で、ドイツなどでの製造業受注の持ち直しを反映しているとみられる。
◆輸出の先行きは回復基調が継続するとみている。とりわけ追加経済対策が実施されている米国向けや、高水準のインフラ投資が見込まれる中国向けの輸出が全体をけん引するだろう。ただし世界的な半導体不足が国内の自動車生産を抑制し、輸出が伸び悩む可能性には留意が必要だ。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2021年2月貿易統計
春節や寒波の影響で輸出は減少も均せば横ばい
2021年03月17日
-
2021年1月貿易統計
春節に向けた輸出の前倒しが発現するも、輸出数量は足踏み継続
2021年02月17日
-
2020年12月貿易統計
欧米での経済活動制限による需要減少を受け、輸出は足踏み
2021年01月21日
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年4月全国消費者物価
エネルギー高対策の補助縮小や食料価格高騰が物価を押し上げ
2025年05月23日
-
AI時代の日本の人的資本形成(個人編)
AI時代を生き抜くキャリア自律に向けた戦略
2025年05月22日
-
2025年3月機械受注
民需(船電除く)は事前予想に反して2カ月連続で増加
2025年05月22日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日