サマリー
◆2019年10-12月期の全産業(金融業、保険業除く)の売上高は前年同期比▲6.4%、経常利益は同▲4.6%と2四半期連続の減収減益となった。また季節調整値では、売上高は前期比▲2.9%と4四半期連続の減収、経常利益は同▲2.5%と3四半期連続の減益となった。
◆2019年10-12月期の全産業(金融業、保険業除く)の設備投資(ソフトウェア除く)は前年同期比▲5.0%と2四半期ぶりに減少に転じた。季節調整値で見ても、前期比▲5.0%と2四半期ぶりに減少した。設備投資は2013年以降緩やかな増加基調にあったが、10-12月期は製造業の落ち込みが全体を下押しした。
◆先行きについて、企業収益は製造業、非製造業ともに厳しい状況が続くだろう。特に2020年1-3月期は新型肺炎の影響によって、大幅に減少する公算が大きい。製造業では、中国向けを中心に輸出の減少やサプライチェーンの混乱などが考えられる。非製造業においても、インバウンド需要の減少に加えて、政府からのイベント自粛要請を受け、日本人のレジャーや外食などのサービス消費を控える動きが広がるだろう。
◆設備投資の先行きについて、短期的には新型肺炎の影響拡大によって見通せず、企業が設備投資を先送りする動きも見られるだろう。新型肺炎が収束した後は、緩やかに増加するとみている。省人化投資やIT投資は、企業の競争力・収益性を維持するためには欠かせない。ただし、足下で設備稼働率の低下基調が続いていることを踏まえると、今後はさらなる能力増強投資よりは、維持・補修の投資により重きが置かれることが想定される。
◆今回の法人企業統計の結果を受けて、2019年10-12月期GDP二次速報(3月9日公表予定)では、実質GDP成長率が前期比年率▲6.1%と、一次速報(同▲6.3%)から僅かに上方修正されると予想する。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2019年10-12月期GDP一次速報
駆け込み需要の反動減で大幅マイナス成長(前期比▲1.6%、前期比年率▲6.3%)
2020年02月17日
-
日本経済見通し:2020年2月
新型コロナ問題の本質 / 業績悪化懸念下でも株高現象の正体
2020年02月21日
-
新型肺炎で日本経済はマイナス成長の恐れ
新型肺炎が拡大・長期化すると実質GDP成長率を1%pt以上押し下げ
2020年02月06日
-
新型肺炎拡大を受けたイベント自粛等により、個人消費はどれだけ下振れするか?
個人消費は5月までに約4兆円抑制される可能性
2020年02月28日
同じカテゴリの最新レポート
-
「責任ある積極財政」下で進む長期金利上昇・円安の背景と財政・金融政策への示唆
「低水準の政策金利見通し」「供給制約下での財政拡張」が円安促進
2025年12月11日
-
2025年12月日銀短観予想
輸出不振や原材料高で製造業の業況判断DI(最近)は悪化を見込む
2025年12月10日
-
2025年7-9月期GDP(2次速報)
設備投資などが減少し、実質GDPは前期比年率▲2.3%に下方修正
2025年12月08日
最新のレポート・コラム
-
中国:来年も消費拡大を最優先だが前途多難
さらに強化した積極的な財政政策・適度に緩和的な金融政策を継続
2025年12月12日
-
「責任ある積極財政」下で進む長期金利上昇・円安の背景と財政・金融政策への示唆
「低水準の政策金利見通し」「供給制約下での財政拡張」が円安促進
2025年12月11日
-
FOMC 3会合連続で0.25%の利下げを決定
2026年は合計0.25%ptの利下げ予想も、不確定要素は多い
2025年12月11日
-
大和のクリプトナビ No.5 2025年10月以降のビットコイン急落の背景
ピークから最大35%下落。相場を支えた主体の買い鈍化等が背景か
2025年12月10日
-
12月金融政策決定会合の注目点
2025年12月12日
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

