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新型肺炎で日本経済はマイナス成長の恐れ

新型肺炎が拡大・長期化すると実質GDP成長率を1%pt以上押し下げ

2020年02月06日

経済調査部 シニアエコノミスト 神田 慶司

経済調査部 研究員 山口 茜

サマリー

◆SARSが流行した2003年と現在の経済構造を比較すると、世界経済に対する中国の存在感は急速に高まっている。最近の先行研究によれば、中国の経済成長率が年1%pt低下すると、世界経済成長率は0.4%pt程度、日本の経済成長率は0.3%pt程度低下すると推計されている。

◆中国政府による団体旅行禁止令などによって訪日中国人が100万人減少すると、波及効果を含めて、日本のGDPは2,500億円程度押し下げられる。ホテルや旅館、飲食店、百貨店、小売店などの業種では収益が悪化しやすく、中国人の宿泊者割合の高い静岡、奈良、愛知、山梨、千葉、三重、岐阜では特に影響が大きいとみられる。

◆新型肺炎が3ヶ月程度で終息する「リスクシナリオ①」と、新型肺炎の拡大が深刻化し、流行が1年程度続く「リスクシナリオ②」という2つのケースを設けた。リスクシナリオ②では、中国の経済成長率が年1.4%pt低下し、訪日中国人数が年400万人減少し、円高が進行すると想定している。この場合、日本の実質GDP成長率は0.9%pt程度押し下げられ、2020年の日本経済はマイナス成長に転じる可能性がある。

◆上記の試算結果には、新型肺炎が日本など中国以外の国・地域で蔓延した場合の経済への影響や、サプライチェーンの寸断といった供給制約による景気悪化などが織り込まれていない。また新型肺炎が拡大・長期化すれば、東京オリンピック・パラリンピックの関連消費への悪影響は避けられない。そのためリスクシナリオ②が発現した場合の実際の日本経済への影響度は、上記の0.9%pt程度を上回り、少なくとも1%pt以上とみるべきだろう。

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