サマリー
◆【企業部門】輸出数量は3ヶ月ぶりに増加した(前月比+1.3%)。ただし主要仕向け先(米国、EU、アジア)への輸出はいずれも減少しており、依然基調に力強さはない。他方で鉱工業生産指数は、前月に生じた消費増税前の駆け込み需要の反動や、台風19号の影響を受け、同▲4.5%と大幅に低下した。機械受注(船舶・電力を除く民需)も同▲6.0%と、市場コンセンサスのプラス予想に反して減少した。
◆【家計部門】雇用・賃金は良好な結果であった。完全失業率は2.4%と前月から横ばいであったが、就業者数は前月差+28万人と大幅に増加した。実質賃金(共通事業所ベース、大和総研試算)も前年同月比+0.5%と、前月(同+0.2%)から伸び率が高まった。それに対して個人消費は、幅広い業種・品目で駆け込み需要の反動減が生じ、前月比▲11.5%と大幅に減少した。
◆【四半期指標】2019年7-9月期の法人企業統計(季節調整値)によると、全産業(金融業、保険業除く)の売上高は前期比▲1.5%と3四半期連続の減収、経常利益は同▲1.1%と2四半期連続の減益となった。外需の低迷などのほか、物価の弱い動きも影響しているとみられる。
また、2019年7-9月期の実質GDP成長率(二次速報)は前期比年率+1.8%(前期比+0.4%)と、一次速報(前期比年率+0.2%、前期比+0.1%)から大幅に上方修正された。その要因は、法人企業統計の結果を受けた民間企業設備、民間在庫変動、年次改定や直近の基礎統計が反映された家計最終消費支出、政府最終消費支出など広範にわたる。他方で2019年12月短観では、大企業製造業の業況判断DI(最近)は0%pt(前回差▲5%pt)、大企業非製造業の業況判断DI(同)は20%pt(同▲1%pt)といずれも悪化した。2013年6月調査以来で最低水準となった製造業の不調と、非製造業の相対的な健闘が際立った。
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