2019年2月全国消費者物価

春以降、エネルギーの押し上げ効果が剥落しコアCPIの伸びは鈍化へ

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2019年03月22日

  • 山口 茜
  • 小林 俊介

サマリー

◆2月の全国コアCPI(除く生鮮食品)は前年比+0.7%となり、市場コンセンサス(同+0.8%)を小幅に下回った。財・サービス別の寄与度の変化を見ると、「耐久財」が小幅に上昇した一方、「半耐久財」はほぼ横ばい、「コア非耐久消費財(除く生鮮食品)」と「サービス」は小幅に低下した。

◆品目別の寄与度の変化を確認すると、「電気掃除機」、「トレーニングパンツ」、「電気代」などが押し上げに寄与した一方で、「ガソリン」、「宿泊料」、「灯油」などは押し下げに寄与した。原油価格の変化が価格に反映されるのが遅い電気代などが上昇を続けていることで、「エネルギー」全体で見た時は足下でも前年比プラスが続いている。

◆先行きの全国コアCPIの前年比は徐々に鈍化し、為替レートと原油価格が現在の水準で推移する場合、今春には0%台半ばまで低下するとみている。エネルギー以外の価格が底堅く推移する中、当面の焦点はエネルギー価格の動向だ。これまでエネルギー価格の上昇が押し上げに寄与してきたが、今後はその効果が剥落することに加え、2018年11月以降の原油価格の急落がラグを伴って顕在化することでプラス幅は縮小に向かうだろう。

◆他方で、国内の動きに関して、教育無償化や携帯電話通信料の値下げが物価押し下げ要因となることも留意しておく必要がある。原油価格の下落に加え、これらの要因が全て顕在化すれば、2019年度のコアCPIは前年比でマイナスになる可能性もある。

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