サマリー
◆2月の全国コアCPI(除く生鮮食品)は前年比+0.7%となり、市場コンセンサス(同+0.8%)を小幅に下回った。財・サービス別の寄与度の変化を見ると、「耐久財」が小幅に上昇した一方、「半耐久財」はほぼ横ばい、「コア非耐久消費財(除く生鮮食品)」と「サービス」は小幅に低下した。
◆品目別の寄与度の変化を確認すると、「電気掃除機」、「トレーニングパンツ」、「電気代」などが押し上げに寄与した一方で、「ガソリン」、「宿泊料」、「灯油」などは押し下げに寄与した。原油価格の変化が価格に反映されるのが遅い電気代などが上昇を続けていることで、「エネルギー」全体で見た時は足下でも前年比プラスが続いている。
◆先行きの全国コアCPIの前年比は徐々に鈍化し、為替レートと原油価格が現在の水準で推移する場合、今春には0%台半ばまで低下するとみている。エネルギー以外の価格が底堅く推移する中、当面の焦点はエネルギー価格の動向だ。これまでエネルギー価格の上昇が押し上げに寄与してきたが、今後はその効果が剥落することに加え、2018年11月以降の原油価格の急落がラグを伴って顕在化することでプラス幅は縮小に向かうだろう。
◆他方で、国内の動きに関して、教育無償化や携帯電話通信料の値下げが物価押し下げ要因となることも留意しておく必要がある。原油価格の下落に加え、これらの要因が全て顕在化すれば、2019年度のコアCPIは前年比でマイナスになる可能性もある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
経済指標の要点(8/19~9/12発表統計分)
2025年09月12日
-
2025年9月日銀短観予想
製造業で業況判断DI(最近)は改善も、先行きへの警戒感は強い
2025年09月10日
-
2025年4-6月期GDP(2次速報)
実質GDP成長率は前期比年率+2.2%に高まるも民間在庫などが主因
2025年09月08日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日