サマリー
◆1月の全国コアCPI(除く生鮮食品)は前年比+0.8%と25ヶ月連続のプラスとなり、市場コンセンサス(同+0.8%)通りとなった。財・サービス別の寄与度の変化を見ると、「サービス」が上昇した一方、エネルギーを含む「コア非耐久消費財(除く生鮮食品)」、「耐久消費財」、「半耐久消費財」はほぼ横ばいとなった。
◆品目別の寄与度の変化を確認すると、「自動車保険料(任意)」、「宿泊料」、「電気代」、「新聞代(全国紙)」などが押し上げに寄与した一方で、「ガソリン」などは押し下げに寄与した。最近はエネルギー価格の変動が消費者物価の主な変動要因となっていたが、1月は各種財・サービスの値上げもあり、コアコア部分に改善が見られた。
◆先行きの全国コアCPIの前年比は徐々に鈍化し、為替レートと原油価格が現在の水準で推移する場合、2019年春頃には0%台半ばまで低下するとみている。エネルギー以外の価格が底堅く推移する中、当面の焦点はエネルギー価格の動向だ。既に、川上の輸入物価と川中の企業物価の前年比上昇幅は大きく縮小している。川下の消費者物価(コアCPI)に関しても、これまでエネルギー価格の上昇が押し上げに寄与してきたが、今後はその効果が剥落することに加え、2018年11月以降の原油価格の急落がラグを伴って顕在化することでプラス幅は縮小に向かうだろう。
◆他方で、国内の動きに関して、教育無償化や携帯電話通信料の値下げが物価押し下げ要因となることも留意しておく必要がある。原油価格の下落に加え、これらの要因が全て顕在化すれば、2019年度のコアCPIは前年比でマイナスになる可能性もある。
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