4月東京消費者物価、3月全国消費者物価

税率引き上げ分は順調に転嫁が進む

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2014年04月25日

  • 齋藤 勉

サマリー

◆2014年4月の東京都区部(除く生鮮食品、以下コアCPI)(中旬速報値)は前年比+2.7%と、消費税率引き上げを反映して大幅な上昇となった。ただし、3月の東京のコアCPIが同+1.0%であったこと、消費税率引き上げによる価格上昇分がそのまま転嫁された場合、約+1.7%ptコアCPIが上振れする計算となることを考慮すると、今回の数値に特段のサプライズはない。財別に見ても、消費税の転嫁状況に大きな差異は見られなかった。マクロ全体で均して見れば、消費税率引き上げ分の価格転嫁は順調に行われたと考えてよいだろう。


◆3月の全国コアCPIは前年比+1.3%と、市場コンセンサス(同+1.3%)通りの結果となり、上昇幅も前月と変わらなかった。市況要因を除いた物価動向を表すCPI(食料(除く酒類)及びエネルギーを除く総合、以下コアコアCPI)は前年比+0.7%と、上昇幅が前月から縮小した。


◆先行きについては、全国コアCPI(消費税の影響除く)は当面前年比+1%前後の推移が続くとみられる。これまでコアCPIを押し上げてきたエネルギーに関しては、円安を背景とした輸入価格上昇による押し上げが徐々に剥落していくこととなる。電気代の再値上げが押し上げ要因とはなるものの、今後の物価上昇の主因はエネルギー以外の品目となるだろう。エネルギー以外の品目に関しては、景気回復によるGDPギャップの改善に沿う形で、緩やかに上昇幅が拡大していく公算が大きい。特に、足下で賃金上昇の動きが活発化していることが、サービス価格の上昇を通じて、物価の押し上げ要因となるだろう。

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