サマリー
◆企業関連の指標は、踊り場局面への転換の可能性が高まっていることを感じさせる内容であった。鉱工業生産指数は前月比+0.4%と3ヶ月ぶりのプラスとなったが、依然として弱い動きが続いている。輸出金額は、前年比▲2.3%と4ヶ月ぶりのマイナスとなった。景気減速懸念が高まる中国向け輸出が軟化するなど、先行き不透明感が根強い。機械受注(船舶・電力を除く民需)は前月比+5.6%と2ヶ月ぶりのプラスとなった。ただし、前月の落ち込みに比べると動きは弱く、7-9月期の見通しもマイナス予想となるなど、弱含んでいる。先行きは、一時的な踊り場局面入りの可能性があるが、復興需要や米中を中心とする海外経済の回復などを背景に、企業関連の指標は底堅く推移するとみている。
◆家計関連の指標は雇用・所得・消費環境に若干の足踏み懸念を感じる内容であった。消費(除く住居等)は前月比▲2.1%と2ヶ月連続のマイナスとなった。失業率は前月から0.1%pt改善し、有効求人倍率も前月から0.01pt改善した。現金給与総額は前年比▲0.4%と、2ヶ月連続のマイナスとなった。「きまって支給する給与」も前年比▲0.1%と5ヶ月ぶりのマイナスとなった。先行きは、底堅く推移する生産動向に支えられて、雇用・所得・消費環境も底堅く推移するとみている。
◆今後発表される統計では、9月3日に公表される法人企業統計に注目したい。円高に伴う空洞化の懸念も高まる中、企業の設備投資動向の基調を見極める上で重要な指標となるだろう。また、同統計を受けて改訂される4-6月期GDP二次速報にも注目したい。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
-
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
-
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
-
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
-
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日