4-6月期のユーロ圏GDPは意外な底堅さ

ドイツはマイナス成長転換も、ユーロ圏全体では成長ペース維持

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2024年07月31日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆ユーロ圏の2024年4-6月期の実質GDP成長率(速報値)は前期比+0.3%と、2四半期連続のプラス成長となった。市場予想(Bloomberg調査、以下同)では前期比+0.2%と、1-3月期(同+0.3%)からわずかに成長率が鈍化すると見込まれていたが、予想に反して前期並みの成長ペースを維持する結果となった。成長率自体は決して高いとはいえないものの、ユーロ圏経済の回復の底堅さを確認させる結果であったといえる。

◆国別の結果を見ると、ドイツがプラス成長の市場予想(前期比+0.1%)に反して同▲0.1%とマイナス成長に転じ、期待外れの結果となった。一方で、減速が見込まれていたフランス(同+0.3%)、スペイン(同+0.8%)が前期と同程度の伸びを維持したことが、ユーロ圏全体として市場予想から上振れする要因となった。

◆2024年後半以降のユーロ圏経済については、個人消費をけん引役とした改善が続くと見込む。インフレ率は前年比+2%台まで上昇ペースが鈍化しており、実質賃金の上昇が続くことで、所得と消費者マインドの両面から個人消費を押し上げるとみられる。加えて、ECBは2024年6月に利下げを実施し、先行きも当面の間、利下げを続けていくと見込まれる。金利低下は耐久財を中心とした個人消費や投資にプラスに働く公算が大きい。

◆ただし、なおもインフレ率の高止まりを警戒するECBは、慎重に利下げを進めていくとみられ、景気抑制的な(中立金利よりも高い)金利水準はしばらく維持される可能性が高い。また、景気の拡大ペースが速まれば、かえってそれがECBの利下げペースを遅らせる要因となり得る。こうした状況下で成長ペースの急加速は見込み難く、ユーロ圏の景気拡大はあくまで緩やかに進むことになるだろう。

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