サマリー
◆ユーロ圏の2023年7-9月期の実質GDP成長率(改定値)は前期比▲0.1%(前期比年率▲0.2%)と、3四半期ぶりのマイナス成長となった。マイナス幅自体は非常に小幅であるものの、プラス成長であった年前半のプラス幅も小さかったことから、ユーロ圏経済は足元1年間、ほぼゼロ成長で推移している。
◆景況感指数などを見る限り、ユーロ圏経済は10-12月期に入ってからも停滞が続いている。だが一方、これまでユーロ圏経済の大きな悩みとなっていたインフレ率が速いペースで鈍化していることは、ユーロ圏経済にとっての好材料である。
◆インフレ率の想定以上の鈍化を受けて、金融市場ではECBが利下げに転じるタイミングへの注目度が高まっている。もっとも、賃金上昇率の高止まりや家計の期待インフレ率の上昇などから、インフレ率の高止まりに対する懸念は完全には払拭されていない。
◆ECBはなおも残るインフレ上振れリスクを見極めたいと考えられ、ラガルド総裁が発言した通り、「今後数四半期(next couple of quarters)」は政策金利を据え置く可能性が高い。
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