サマリー
◆リセッションからの回復が期待されていた4-6月期に入ってもユーロ圏経済の足取りは重い。とりわけ製造業では生産、受注の減少、景況感の悪化が続いており、経済全体の足を引っ張る状況が続いている。
◆また、実質小売売上高に見る個人消費についても、引き続き力強さを欠いている。ただし、スペインなど、一部の国では改善の動きも見られており、悪化一辺倒ではない。企業景況感の悪化傾向とは対照的に、消費者センチメントは低水準ながらも改善基調を続けており、ホリデー需要が本格化する夏場にかけて、多くの国でサービスを中心に個人消費が活性化することが期待される。
◆足元のインフレ率は、6月にECBが公表した見通しに沿った動きとなっており、7月のECB理事会では、6月理事会で予告された通り、追加利上げが実施される公算が大きい。注目点は9月以降に向けたガイダンスということになるが、依然として高いインフレ率に鑑みれば、さらなる追加利上げの選択肢を残すことになろう。もっとも、インフレ率の鈍化傾向や、足元の企業景況感の弱さを踏まえれば、利上げの終着点は着実に近づいている。
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