サマリー
◆企業の生産関連指標の堅調さを背景に、ユーロ圏の2023年1-3月期の実質GDP成長率はゼロ近傍に上方修正される公算が大きい。企業のマインドも、エネルギー危機に怯えた冬を乗り切って、現状認識が大きく改善している。だが、対照的に、先行きへの期待感は足踏み状態になっている。国際的な金融システム不安は一旦後退したものの、将来の信用収縮につながる不安は残っているとみられる。当面、欧州金融機関の態度・行動が、企業や家計にどのような影響を及ぼすか注視する必要があろう。引き続き、ECBは、金融の安定に配慮しながら、インフレ抑制という難しいミッションに取り組まなければならない。
◆英国経済は明確な悪化こそ回避しているものの、高インフレ、相次ぐストライキなどを背景に冴えない。ただし、エネルギー価格の下落と政策効果で4-6月期以降、CPIの上昇率には鈍化が見込まれることから、実質賃金の減少には歯止めが掛かることになろう。一方、BOEによる累積的な利上げの効果は今後本格化するとみられ、英国経済の先行きは引き続き慎重にみるべきである。
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